【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第36話 ページ43

ローラの返答を聞いた2人は顔を見合せ、首を傾げる。

「仕方ないね」

片方が小さく呟くと、双子はローラ達の方に向き直る。

「先刻云ったように、僕らはお姉さんを連れて帰らないと『代わり』の者に存在を盗られる。
だから連れて帰りたい」

「でも仕方ないね、お姉さん嫌がってるから、無理矢理連れて帰れない。
だからと云って何もせずに帰る気は無いよ」

双子はにこりと笑って両手を広げる。

それに呼応する様に周りの草木がざわめき、ローラ達の左右に2本の道が出来る。

「何方かの道の先には僕等が居る」
「何方かの道の先には地獄がある」

双子はそれぞれの道をさす。

『好きな方を選んでよ、それが君らの生死を分ける』

移り行く現状に理解が追いつかず、ローラは混乱する。

それを嗤うかの様に双子は笑を深める。

「言っておくけど僕らか地獄、何方かに来なければ君達は帰れないよ」
「『葡萄』を遣っても感覚は共有できないし、道じゃないところを進めばここに戻ってくる」

まるで思考を読むみたいに先回りして手を打たれる。

ジョンは諦めて衣囊(ポケット)に入れていた手を出す。

「一つ質問だ」

マークは手を掲げて双子に問う。

「ゴールに行くには一本道なのか？
ゴールでは何がある？」

マークの質問に双子はぽん、と手を叩く。

そして2人で頭を下げる。

「それを説明してなかったね、ごめんね」
「道は複雑に入り組んでいて、右の道でも左の道でもルートを共有してるから運が悪かったらはぐれちゃうよ」
「地獄のゴールは、悲しい地獄が待ってるけど、それを超えられれば出られるよ」
「僕らのゴールではクイズに１問正解すれば出られるよ」
「3人と2人、1人と4人に別れても良いからね」
「1時間以内にゴールしてね」

それだけ云うと双子は後ろの大木の影へと姿を消した。

「別れても良いってあの子達云ってたけど、どうする？」

しばらく無言が続いた後、静寂に耐えきれなくてローラが切り出す。

「ローラとジョンは右、僕らは左でいいでしょ

運が悪ければ逸れるって事は、良ければ会えるって事だし」

なんてこと無いようにマークは云い、さっさと歩き出す。

「情報が無さすぎる以上、考えても仕方ないか」

ジョンは1人呟いて頷き、マークとは反対の道へと向かう。

「また後で、マーク」

ローラは声を掛けてジョンの後について行った。

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