【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第35話 ページ42

「君達は誰だ。

何故此処に居る」

ローラを護る様に前に出て、ジョンは頭上の2人を睨む。

衣囊(ポケット)に手を入れて異能を何時でも使えるように準備する。

彼らは『お姉さん』と云った。

この場に女はローラ1人しか居ない。

流石にジョンかマークを女と見間違える事は難しいだろう。

「ボク等が遊びたいのはお姉さんだけだ。
お兄さん達じゃない」
「だから2人はバイバイ？」

髪の短い方が首を傾けて微笑み、手をひらひらと振る。

「名も知らぬ君達の許にローラだけを置いて行けるわけないだろう？」

植物達が退路を塞いだのは恐らく彼ら2人の仕業。

何らかの異能を持つ者で間違い無さそうだ。

如何にか隙をついて逃げる方法は無いか、と考えている時。

『うわあっ』

木の枝に腰掛けていた2人が悲鳴をあげて落ちた。

ガサガサ、と音を立てて草と落ち葉の絨毯の上に頭から落ちた。

2人が元いた場所にはトムとハックが浮いており、ハイタッチ。

「ナイスだ、2人とも!」

マークが親指を立てて喜ぶ。

彼が2人に指示を出して枝から落とさせたらしい。

14、5歳の子供を遠慮なく突き落としたマークに、自分が落とされた訳では無いがローラは少し距離をとる。

とは云え、自分等が属しているのは非合法異能組織。

そして少年等は敵。

情けは無用と云うことだ。

「痛ったいなぁもう!」
「いきなり突き落とすなんて。常識って言葉を知らないの？」

落ちた2人が起き上がり、髪に葉を乗せたまま憤慨する。

「いきなり道塞いで遊びを強要する君達に常識についてとやかく云われたくは無いね。

僕らは急いでいるんだ、帰してもらえないかな」

「お姉さんを連れて帰らないと僕らが主人(マスター)に怒られちゃう」
「怒られるのは嫌なんだよ。
主人(マスター)怒ると凄く怖い」

少年等は両手指を互いの指に絡めて小さく震える。

「主人(マスター)は何時も云うんだ。

『失敗は赦されない。お前らの代わりはいくらでも居るんだ』

って」
「実際それはその通りで僕らの代わりは本当に沢山居る。

僕らの前にも後にも同じ存在は沢山いる」

『だからぼくらは少しでも長く此処に居る為にお姉さんが必要なんだ』

組んでいた指を離し、ローラに向けて差し出す。

ジョンの後ろに隠れたまま、ローラは首を左右に振って1歩下がる。

「わたしは行きたいと思う場所にしか行かない。

貴方達とは行きたくない」

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