第31話 ページ37
それから暫く2人は特に話す事も無く互に窓の外を眺めていた。
空の移動だから地上よりは速いものの、何時間かは掛かる。
窓から見える空は蒼く澄み切っている。
雲一つ無い蒼空なんて見るのは何時ぶりだろうか、とローラはぼんやりした頭で思う。
家に居た頃はしょっちゅう見ていた気がする。
田舎だとのんびりしてたのに何故都会に来ると気が急いでしまうのだろう。
忙しさでは家に居た頃の方が圧倒的に勝っていたというのに。
「ふわぁ〜あ」
大きな欠伸と共にマークが両腕を上に挙げて体を伸ばし、目を覚ます。
「ごめん、何時の間にか寝てたみたいだ」
くぁ、と今度は小さく欠伸をして二人に謝る。
「そんなにぐっすり寝る程疲れたの?
ってかジョンもかなり疲れてたわよね」
迎えに来てくれた時のジョンの様子を思い出す。
あれほど疲弊した様子を見せる彼を見たのは何年振りだろうか。
「仕事自体はそう難しくなかった。
僕らが着いた時には全部終わってて見逃された被害者が居ないかとか見て回るだけだったから。
大変だったのはその後さ。
僕とハックとトム、それからジョンで探してたんだけど、足元が急にひんやりと涼しくなったから見てみたら霧が漂い出していたんだ。
しかもその霧は僕とジョンにしか見えてなくて案内人やトムとハックは見えてなかったんだ。
それに触れて暫くしたら急に体が重くなって体力がガンガン削られていった。
それからは想像つくだろう?」
自身に掛けられていた毛布を畳みながら、気不味そうに苦笑する。
霧に怯えて逃げてきた、と云って居るようなものだ。
素直に話せる正直さは凄いとローラは感心する。
「実は僕にはその霧が見えたのはマークが騒ぎ出した後なんだ」
黙っていたジョンが口を開く。
「マークがこの霧はおかしい、と何も無い所を指して云って来るから何処かに潜伏していた異能者に寄る幻影かと警戒して« 葡萄»を遣った。
そしたら急に力が抜けて、霧が僕らの辺りに漂っているのが判ったんだ。
だから夫々の異能を解除して引き上げてきた。
恐らくあの霧は異能を使っている者にしか効果はないんだと思う」
戻ったら団長に報告をしないと、とジョンは呟く。
ローラは変わった霧があるんだなぁ、と思ったが、どこか頭の隅に引っかかるものを感じた。
然しローラは頭を振って忘れる事にした。
何か嫌なものを思い出しそうだったから。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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笹山花音(プロフ) - 星華さん» 気付くのが遅くなり、すみません。コメントありがとうございます! (2018年7月7日 18時) (レス) id: 03806a50b2 (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 面白いです。これからも頑張ってください。 (2018年7月1日 10時) (レス) id: 53fe236a9d (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわさくらもち@組合らぶ(プロフ) - 笹山花音さん» (https://ibispaint.com/art/969417430/)該当作品が消えてしまった様なので上げ直しました。何度も申し訳ございません。 (2018年4月5日 10時) (レス) id: 55f4685ec4 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわさくらもち@組合らぶ(プロフ) - 笹山花音さん» 大丈夫です。確り確認出来ていなかった此方の不手際で御座います。申し訳ございません。是非お願い致します。此れからも応援していますので頑張って下さい! (2018年4月5日 10時) (レス) id: 55f4685ec4 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ふわふわさくらもち@組合らぶさん» 素敵な絵を有難うございますm(*_ _)m早とちりしてご不快な思いをさせてしまい、すみません。次回更新の際に載せて頂いても宜しいでしょうか? (2018年4月5日 10時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月28日 21時