【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第25話 ページ30

｢ジョン、そろそろ着くって｣

ゆさゆさとローラに揺すられ、眠っていたジョンは瞳を開ける。

目のまえに出てきたローラの顔に驚きながらもジョンは起き上がり、窓の外を見る。

比較的人が多そうな田畑のある広い村だ。

建てられた家が所々燃えたり倒壊しているのが見える。

しかし人間は多く残っており、必死に倒れた家の下から人や大切なものを掘り出したり、田畑の手入れをしている。

村人の1人が近付いてくる直昇飛機(ヘリコプター)に気付き、上空を指して他の村人に伝える。

気付いた村人は慌てて家の中に隠れたり通りの隅に寄って頭垂れる。

｢何か様子がおかしいな。

僕らにかなり怯えてるみたいだぞ｣

外を眺めていたマークが呟く。

直昇飛機(ヘリコプター)が道に止まると、窓から覗いていた子供は引っ込み、木戸が閉じられる。

力のありそうな男達だけが道に残された形となった。

先ずローラが降りると彼等は目を瞬かせる。

次にマークが段差を飛び降りて出てくると首を傾げて明らかに困惑の表情を浮かべる。

最後にジョンが降りてくると彼らの顔が引き締まる。

その様子をローラとマークは複雑な気持ちで見ていた。

｢今度は何の用だ!｣

ローラ達が近付いて行くと、男主のひとりが声を張り上げる。

｢今度？

前来た事あったけ？｣

｢僕は身に覚えがないな。

ジョンは？｣

｢いや、僕も無いさ｣

彼らの歓迎の対応に戸惑った3人は言葉を交わし、結論を出す。

彼等は自分達をべつの人と勘違いしている、と。

と為ればする事は一つ。

誤解を解く事である。

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