【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第24話 ページ28

｢あれ、この場所・・・・・・｣

部屋に戻る途中、与えられた任務資料を確認していたジョンはある頁(ページ)を見て足を止める。

｢如何(どう)したんだい？ジョン｣

ローラと並んで前を歩いていたマークが先に気付いてジョンに心配の声を掛ける。

ジョンは真っ青な顔で頁(ページ)に載っている地図を見詰め、書類を握りつぶすと焦った顔で来た方向へと掛け戻っていく。

｢一寸( ちょっと)、ジョン!?｣

ローラが叫んで呼び止めようとする。

｢団長(ボス)に用事があるんだ、先に準備しててくれ！｣

帰ってきた返事に、ジョンのおかしな行動に、2人は戸惑ったが先に準備しろと云われたので互いに顔を見合わせて後ろを気にしながら進む事にした。




｢遅いよ、ジョン。

5分前行動って言葉を知らないのかい？｣

出発予定時間を30分ほど遅れた頃、2人が待つ拠点屋上のヘリポートにジョンと直昇飛機(ヘリコプター)の操縦士が現れた。

ローラ達よりも早く来て直昇飛機(ヘリコプター)の整備をしていた操縦士は、1度フィッツジェラルドに呼び戻されていたのだ。

馘首(クビ)にされるのかと怯えながら、操縦士は向かっていった。

現れたジョンは疲れきったとも絶望とも取れる様な複雑な表情をしている。

｢生憎(あいにく)とそんな言葉は聞いたことがないね｣

然し、マークの軽口に返すくらいの余裕はある様だ。

3人が直昇飛機(ヘリコプター)に乗り込むと漸く機体が地上を離れて動き出した。


｢全く、何でこんなに遅くなったのよ？

操縦士のおじさんかなり怒ってたわよ｣

その後何故か呼び出されて怯えてたけど、と付け足すように云う。

｢色々あって団長(ボス)と話し合いをしていたんだ。

遅刻に就いては謝るよ｣

疲れた様な溜め息と共にジョンは言葉を紡ぎ出す。

ローラの体が青磁色に光りだす。

｢今なら誰からも見えないから｣

慌てて止めようとしたジョンを制してローラは微笑む。

そして作り出した触感を伴う緩和材(クッション)をジョンに渡す。

｢わたしの所為でジョン疲れてるでしょ？

それで休んでて｣

何かあったら起こすから、というローラの言葉にジョンは緊張で上がっていた肩を落とし、緩和材(クッション)を使って休む事にした。

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