【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第1話 ページ3

暖炉のそばで編み物をする双子の姉を横目に見ながら少女は日記を綴る(つづる)。

壁に背を預け、膝を折り曲げた格好で綴って(つづって)いると急に足を伸ばしたくなり、日記を腿(もも)に置いて膝を伸ばす。

ある日何かがあった訳でも無いのに書きたくなった日記は、その日以降毎日欠かさずに書いていた。

肩の上で二つに分けて結われた長髪は床の上でとぐろを巻いている。

靴を脱がない為、土汚れが床にあるのだが本人はまったく気にしない。

代わりに母親が気にする。

しかしその母親は父と犬を連れて市まで買い物に出掛けている為、不在である。

姉と二人、留守番だ。



家があるのは米国(アメリカ)の田舎の外れ。

すぐ近くには熊の出る森がある為、一人での外出行為は親より禁止されている。

「早く父さん達帰って来ないかなぁ」

しかし少女は出歩きたくてうずうずしている。

外は晴れており、気温も暖かい。

季節は冬だが、珍しく天気のいい日なのだ。

絶好の散歩日和。

だと云うのに姉と二人でこの家に閉じ込められている。

少女は家の中で大人しく過ごすよりも外で駆け回りたい種類(タイプ)の人間だ。

逆に姉は生まれ付き体が弱く、外で駆け回るよりも家の中で大人しく過ごしているのが好きな趣向(タイプ)。

二人はよく喧嘩をしていた。

本人達は喧嘩の心算では無いのだが、第三者から見れば喧嘩をしているらしい。

彼女らはあくまで自分の意見を主張しているだけだが。

姉はだらしない妹を一瞥(いちべつ)し、また手中の毛糸を見る。

「誰か来たわよ」

毛糸から視線を外さずに姉は呟く。

「ホント!?

行ってくる！」

少女は立ち上がり、髪に付いた土汚れを頭を振って払い落とし、服についた物も叩いて取ると戸口へ掛けていった。

少女の名前はローラ・インガルス・ワイルダー

米国(アメリカ)の田舎村の外れにある農家の次女にして異能力〖大きな森の小さな家〗の所持者。

この物語の主人公である。

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