嫌われ者なあの子に仕方ないから姫の座、譲りました。 (ページ7)

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5話ページ7

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長い廊下を渡っている途中、手洗い場に人影を見つけた。ちらっと目移りすれば青いパーカーを着たころんくんと、学校帰りだったのか制服姿のるぅとくんが居た。どうやら、2人でコソコソとイタズラをしているらしい。

ほんとに、変わらないなぁ…

なんて謎にしみじみとしてしまう

自分の気を引き締めて、近寄る。

「何してるの？」

ガシャガシャと袋を乱暴に開けている
ころん君に尋ねれば

「んー、見てわかんない？」と

おかしそうに笑った後、私の顔を見て

叫び出した。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

その声のデカさに、思わず私は身を縮め

るぅとくんは肩をあげた。

「も～、ころちゃん！さとみくんに
バレたらどうして…」

と、言葉の途中で私の顔に気付き

そのまま私に駆け寄ってきた。

「Aっ…どうしたの？！」

そう言って、私に駆け寄るるぅと君に

クイッと人形を押し付ける。

この人はしぶといから。

絶対に依存しては行けない。

そんな警告が流れて、びっくりし過ぎて行動不能なころんくんにも渡す。

「…は？これ、僕達がプレゼントしたやつだけど。」

この人は覚えててくれたんだ。

当たり前かのように片眉を下げ言う

ころんくんに、私は微笑む。

「今まで、ありがとう。」

「何言ってるんですか？」

「いいから、ほら。イタズラしなよ」

「…それ、さとみ君にも届ける？」

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「…は？＿＿なん「ふぃ～」｣

私の言葉は、ガチャというドアの音と共に

遮られた。

「お待たせ～って、何これ。」

ころんくんとるぅとくんのイタズラの経過途中に気付き、不審そうに私達を見る。

「へ？てか、Aじゃん。あんなに呼びに行っても出てきてくれなかったのに。」

「よく連れ出せたな」ところんくんとるぅとくんの肩を叩くと、2人も不満そうに人形を抱き締めていた。

その異変に気付いたのか、私は

貰ったプレゼントをさとみ君にも渡す。

「…これ、ありがとう。」

「え、ちょっと待って。意味わかんない」

「これは、俺達があげたプレゼントだしずっと持ってて欲しいんだけど。」なんて言うさとみくんの声も聞かずに、後ろから呼び止めるころんくんの声も聞かずに。無言のまま俯くるぅとくんも見ずに。私は、その場から抜け出した。

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「…何やってんだろ。」

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自然と涙がポロリと零れた。

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