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4話 ページ6





コンコンと最初にノックした

部屋は、私の部屋から1番近かった部屋。



「は〜い!」


部屋の中から、可愛らしい声が聞こえ

ガチャ。という音と共に顔を見せたのは

いつもの服装をしている莉犬くんだった。



「はっ…、Aっ!!!」



ガバッと私に抱き着いてくる莉犬くんに

「今日で最後だから…」と自分に

甘くして、彼の背中に腕を回す。



あまり変わらない私達の身長は

莉犬くんが1番納得いってないようだ。




「…ねぇ、本当に居なくなっちゃうの?」



「うん、今までありがとね。」



重い顔をする彼に比べ私は大分

涼しい顔をしていたであろう。いつもより

少し掠れていて低い声の莉犬くんは

辛そうに私を見ていた。














やめて、そんな目で見ないで。
















「…これ。」


そう言って、私はそっと差し出したのは

赤いリボンを首元に付けた可愛らしい

クマのぬいぐるみ。それを不思議そうに

受け取り、首を傾げる。



「俺、こんなの持ってないよ?」




「てか咲のじゃない?」と、私の顔を覗く彼に「うん、莉犬くん達が誕生日でくれたプレゼントだよ。」と、平然と私は答える。




「…もう、要らないから。」



そう言って、返そうとしていた莉犬くんの

手を止め、私は戻した。



「へ、何言って…!」



「今まで、本当にありがとうございました。」と、深々お辞儀をした私に再び抱き着いてきた莉犬くん。私も控えめに彼の頭を撫でた。




「俺、絶対Aと離れたくない…」


「私は今すぐ離れたいな。」


「A〜…、!!」



今にも泣きそうな顔で私を見る

莉犬くんに、これ以上未練を見せては

いけない。こんなんじゃ莉犬くんが

懐いたまんまじゃない。





「じゃあね。」


「…ばいばい。」



ぎゅっと人形を抱き締め私の姿が
消えるまで見送りをしてるであろう莉犬くんに遠慮なく、私は長い廊下を歩く。

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ましかに - 待ってます (2022年6月18日 16時) (レス) @page27 id: b45f3d1284 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 更新待ってます (2020年5月29日 0時) (レス) id: f65192fa99 (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 続き気になります!お話とても好きです! (2020年5月20日 0時) (レス) id: d775cce176 (このIDを非表示/違反報告)
らん@歌い手色の占ツク民達(プロフ) - 続き気になります!!!面白すぎて腹筋割れます(?) (2020年2月10日 18時) (レス) id: d574829136 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 未来さん» わああ、ありがとうございます◎これからも応援して頂けるよう、精一杯頑張らせて頂きます! (2020年1月27日 7時) (レス) id: 8bdf184cc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月15日 6時

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