#58 記憶と罰 ページ8
❁Aside
「なぁ…俺を信じろ、A」
久し振りの二人きりになった空間に、ずっと口を閉ざしていたリヴァイの低い声が響く―……
『……え…？』
「……俺はあいつじゃない。
だが、お前が例えどこにいようが…必ず連れ戻す」
それは私にとって、心臓を吐き出してしまいそうだと錯覚する程に、動揺させられる言葉。
「…だから、
２日前の続きを、ちゃんと話せ」
『……わた、し……は……』
「……」
リヴァイの声は温かいのに、
“でも”
“ただ怖いの”
口渇し、そう震える唇で、声の出ない言葉を形だけで描いても、それが伝わっているのかは分からない。
「…ここにいるだろ」
―他に誰もいない兵士長室で、震える手にあなたの手が重なって、私の隣にいてくれる。
２日前からの
この世界に独りぼっちのような感覚に陥る私に、“ここにいる”と言うあなたに胸の奥が揺れた。
『ずっと前……夢…見た、の』
何ヶ月も前、雪の降る夜だったのに、目覚めた瞬間は寝汗と息切れで体が熱すぎた。
『幼い頃の夢…だったんだけど、目が覚めた後、
“A、今見たことは忘れなさい”
懐かしい女性の悲痛な声が頭に響き、そうして、私は本当に…その夢と記憶ごと吐いた。
『思い出せない、のに……罪悪感が…残る』
「……思い出そうとして、痛むのか?」
『そう、だね……』
「そのせいで、俺に殺されまがうようになったのか…？」
『……ごめん、なさい。
傷つかないといけない気がして、だから…あなたの好意を……踏み躙った。
…軽蔑した？』
「……できたら、楽かもしれねぇな」
“A、お願い…ここから逃げて”
『だから、きっと……兵士になったの』
そしてあなた達に出会い、記憶の断片とも足りないその言葉通りに、忘れて生きてたんだ。
『好きな人に…“好き”と言えなくなった。
私は……繕って…嘘ついてた……の、かな』
視界が涙で覆われ、あなたは息を呑んで、言葉を失くした私に優しい罰を与える。
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猫
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氷飴（こおりあめ）(プロフ) - 宇宙。さん» 宇宙。さんが綴られた可愛くて和やかなお話のきっかけ(…に、なれたと自惚れていいのでしょうか)に少しでもなれたのかと思うと本当に嬉しいです^^*それだけでなくCSSまでお褒めいただき…。本当に、温かなお言葉をありがとうございました！ (2019年6月22日 12時) (
レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - 氷飴（こおりあめ）さん» 自作なんですか！すごいです。。これからもcssとお話のどちらも楽しみに待ってます！！そういえば、氷飴さんに触発されてさっき小説を初めて書き始めました。もし見ていただけるなら…なんて厚かましいですが、覗いていただけたら嬉しいです！長文失礼いたしました。 (2019年6月22日 12時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
氷飴（こおりあめ）(プロフ) - 宇宙。さん» 宇宙。様初めまして！コメントありがとうございます。梅花黄蓮から一気読みしていただいたとのことで…嬉しいやら恐れ多いやらで心臓がばっくばくな私です…��(･ω･ﾉ)ﾉありがとうございます、これからも頑張ります！CSSは自作しております^^* (2019年6月22日 11時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - ところで、このｃｓｓとても素敵です！！ご自分でおつくりになったのですか？ (2019年6月22日 11時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - 初めまして！梅花黄蓮からここまで一気読みしちゃいました。これからも頑張ってください！ (2019年6月22日 11時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷飴 | 作成日時：2018年4月16日 19時
