#53 夢と重なる ページ3
❁エルヴィンside
恐る恐ると目を開ける君の、視界に映るのは変わり映えもない景色だろう。
でも、それに目を奪われた君が、無邪気な子供のように目を輝かせて屈み込んだ。
『…これのこと？』
名も知らない花に触れて、上目遣いで見上げてくるAに心臓が大きく鳴るが、知らないフリをする。
「今日トロスト区から来る時に見つけた。
…気休めくらいにはなるかい？」
『ん……ありがとう、嬉しい……』
「…本当に好きなんだな」
『そうだね……。
花は…この世のもので、あなたの次に好き』
「……」
不覚にも、耳が熱くなるのを感じた。
そんなことも露知らず、Aは『トロスト区に連行されるかと思ってたよ』なんて苦笑いした。
君がこんな風になれると知っていたら、もっと早く連れてくればよかったと思う。
「…なぜ？」
『特別作戦班の副班長、失格だよ。
……リヴァイに遠避けられるわけだ』
「もし君がいないと、リヴァイ班が危ういな」
『……そう？』
「あぁ…君を引き抜けなくて困るんだ。
私情で君を傍に置きたいだなんて、俺も団長失格だからな……気にすることない」
『ふふっ…冗談が上手』
重く冗談でないことを君は知らない。
まぁ、でも…こんな冗談は君を困らせるだけだろうから、言わないでおくことにしよう。
『……この花ね、うろ覚えなんだけど……』
「ん…？」
風で折れたのか、その紫色の花を手に取った。
手にした君自身は酷く悲し気だったが、声は懐かしさを含んだような温かなものだな。
『名前が思い出せないけど…。
赤色は“心配して震えている”で…白色は“あの人が気がかり”って、花言葉だったと思うんだ』
君を憂えて来てみれば偶然にもこの花を見つけたのだから、笑ってしまうのは…妥当だろうな。
「…なら、その紫色のものは？」
『…“勝利への決意”…だったかな』
「……ッ。
A…なにを、してるんだ…？」
『似合いそう…だから？』
「…はは。君も変わってるな」
なにを思ったのかAが、その花を俺の耳元に飾ろうとしている。
しかたなく彼女の隣に腰を落ち着けると、飾って、満足そうに微笑んでいた。
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氷飴（こおりあめ）(プロフ) - 宇宙。さん» 宇宙。さんが綴られた可愛くて和やかなお話のきっかけ(…に、なれたと自惚れていいのでしょうか)に少しでもなれたのかと思うと本当に嬉しいです^^*それだけでなくCSSまでお褒めいただき…。本当に、温かなお言葉をありがとうございました！ (2019年6月22日 12時) (
レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - 氷飴（こおりあめ）さん» 自作なんですか！すごいです。。これからもcssとお話のどちらも楽しみに待ってます！！そういえば、氷飴さんに触発されてさっき小説を初めて書き始めました。もし見ていただけるなら…なんて厚かましいですが、覗いていただけたら嬉しいです！長文失礼いたしました。 (2019年6月22日 12時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
氷飴（こおりあめ）(プロフ) - 宇宙。さん» 宇宙。様初めまして！コメントありがとうございます。梅花黄蓮から一気読みしていただいたとのことで…嬉しいやら恐れ多いやらで心臓がばっくばくな私です…��(･ω･ﾉ)ﾉありがとうございます、これからも頑張ります！CSSは自作しております^^* (2019年6月22日 11時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - ところで、このｃｓｓとても素敵です！！ご自分でおつくりになったのですか？ (2019年6月22日 11時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - 初めまして！梅花黄蓮からここまで一気読みしちゃいました。これからも頑張ってください！ (2019年6月22日 11時) (レス) id: 003422f1aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷飴 | 作成日時：2018年4月16日 19時
