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弐拾肆 ページ30

『ああ…言われますね。訓練もしてますし』

阿「だろう、何故なんだ?」

『…何ででしょうね。花街にいた頃に一度攫われかけてたからですかね』

猫「…」

『このことはよく分かりません。昔からこうだったので。な、猫猫』

猫「嗚呼」

阿「そうか…」

酒を一口飲む。
うん、やっぱり美味い。

阿「息子が私のもとからいなくなってから、ずっと私は主上の友人だった。いや、友人に戻ったというべきかな」

友人…。

阿「妃に選ばれるとは思っていなかったし、選ばれた後もいわゆる房事の指南役だと思っていた。
…その程度で得た淑妃の座だ。縋るべきじゃなかったのかもな。さっさと次に受け渡せばよかった。そうすればきっと…」

俯く阿多様。
どこかで見たことがある横顔だ。
…あ、壬氏様だ。
…何故だ?

阿「水の中は寒かっただろうな。…苦しかっただろうな」

猫「…ええ」

『そうでしょうね…』

阿「莫迦だ。みんな、馬鹿だ_」

きっと、死んでしまった下女も風明様もこの方のために命を懸けても悔いはなかっただろう。
人の上に立つべき人。

日々、主上の子孫を残すための争奪戦が繰り広げられている後宮。
だが、ただ子孫を残すためじゃなく主上を支えれる方もこの方のようにおられる。
…もったいない。


『先戻ってるけど…大丈夫か?』

猫「嗚呼。もう少しここにいたいんだ」

『わかった。じゃ、おやすみ』

猫「おやすみ」

にしても…何で阿多様と壬氏様が似ているんだ?
あ、もしかして。

今の皇弟と阿多妃の息子、東宮。
同時期に生まれている。
もし何かあった場合は、東宮より皇帝の方を優先される。
…だからだろうか。
羅門さんが後宮を追放される上に肉刑を受けたのは
本当の皇帝の子を死なせてしまったからなのだろうか。

「息子が私のもとからいなくなってから」

死んだとは言っていない…?
と言う事は、今も生きていると言える。
皇帝の子が死んでいたら、阿多様の息子は今の皇弟だと言う事。
…もし壬氏様と阿多様が親子だった場合…。
…いや、やめておこう。
羅門さんに怒られる。

『あれ、壬氏さ…酔ってますな』

壬「A…?」

『ちょっ、本当にどうしたんですか。酒でも飲まれました?』

壬「…付き合いだ」

『ふふっ、そうですか。猫猫ならあそこにいますよ』

壬「ありがとう…」

壬氏様を見送る。
あの人酒飲むと素が出てそうだな。
…まぁいいか。


猫猫が戻って来ない。
と思っていたら帰ってきた。
めっちゃ疲れたような顔してた。

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(プロフ) - カラメルプーリンさん» ありがとうございます!頑張ります (2021年1月5日 21時) (レス) id: 8059e3f627 (このIDを非表示/違反報告)
カラメルプーリン - 面白い、、、更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!頑張ってください!! (2021年1月5日 20時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年12月22日 0時) (レス) id: 8059e3f627 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 面白いです!私も友達に勧められてハマった民なので・・・応援してます (2020年12月20日 15時) (レス) id: 9f4a8dbb0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年11月30日 22時

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