新人と店主 ページ8
清々しく晴れた朝
「やぁA!今日は新人を連れてきたよー」
いつもハイテンションだが、今日は一段と元気の良い太宰さんがやってきた
その後ろからは見慣れない白髪の少年が不安げにこちらを伺っている
「そちらは?」
「あっ、僕、中島敦と言います!昨日から探偵社にお世話になってて」
言葉に詰りながら自己紹介する姿はなんとも健気で、思わず助けてあげたくなるような少年
「中島さん、いらっしゃいませ。ご注文はいかがなさいますか?」
微笑みながら席へ案内してメニューを手渡す
私はー?などと不貞腐れている太宰さんは無視
「中島さん何てそんな・・・!呼び捨てで構いませんよ」
「では淳くんとお呼びしますね?」
わたわたと謙遜する姿があまりにも微笑ましく、笑みを浮かべながら名前を呼ぶと、顔を赤らめて黙ってしまった
「淳くーん、ここはなんでも美味しいけど、特に珈琲が絶品でね。是非飲んでみるといい」
私はいつものね!と太宰さんが付け足す
「じゃあ僕もそれをお願いします!」
「ふふ、かしこまりました。少々お待ちください」
確か今日提供する予定のロールケーキがあったはず
珈琲カップ2つとロールケーキを持って二人のいるテーブルへ
「特製ブレンド珈琲とサービスのロールケーキです」
「え、良いんですか?」
「勿論です!ささやかですが、当店からの入社祝いだと思って下さい」
ありがとうございます!と美味しそうにロールケーキを口に運ぶ淳くん
「あれ、もしかして私、空気?」
「あ、いたんですね。」
「酷いっ!」
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作者名:しゃちほこ | 作成日時:2018年3月14日 21時