四話 ページ7
えーと…フェニランは確か…ここを歩いて…
あ、ここだ。もうショーの開演時間の10分前だ。急ぐか。
この茂みの奥って書いてあるな…行くしかないな。ここまで来たんだから。そう思ってひたすら歩を進めていく。
……着いた、ここだね。チケットを持って指定された席に行く。一番前の席じゃん。
どんなお話なんだろーなー…ってあれ?なんでこんなに楽しみにしてるんだろ?まぁいいや。いちいち考えるのも面倒だ。そう思っていたら開演時間になった。
これは…戦隊モノかな?フフフッ、面白いな
僕は口に軽く手を押さえながら笑う。
類の演出も完璧だしてんつかくんも普段の喋り方と違いそれっぽい感じがしてくる
寧々もいるし…後あの子……明るくて可愛いなぁ。確かここの遊園地のなんか偉い人の娘さんだったはず。
皆んな役に溶け込んでいて、それでいて自分らしさを表現している。
『……羨ましいなぁ』
私は慌てて口を両手で押さえつける。
危ない危ない…本音が聞こえちゃうところだった…
……まただ。また僕は、自分の気持ちに素直になれていない。僕は皆んなと違って皆んなの理想として明るく振る舞って生きていく都合の良い人生を歩んでいる。客観的に観ると良さそうだけど僕はそうは思えない。
その考えを人に話す度に、「何言ってんの。気持ち悪い」とみんなに引かれる。そうして僕の周りにいた人が離れていく。減っていく。だから孤独になる。別に孤独が嫌と言ってはいない。
僕は…孤独は皆んなが思ってることほどそんなに悪いものではないと思う。だって自分の好きなことを好きなだけやれる。それってとっても素敵だし、幸せだと思う。でも、それでも…類や皆んなを見て羨ましいと呟いたら、思ったら、考えたら…駄目なのだろうか?
分からない…なんにも…分かんないよ。
そう考えているうちにショーは終わりを告げた。
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作者名:AKANE | 作成日時:2023年6月2日 0時