【ars】〜５つの恋〜社内恋愛しませんか？【出会い編】

１２．営業部のアイドル（１） ページ12

２度目の１２階。
さっきは素通りした第１営業部営業１課。
女子社員だらけだった場所へ向かう私達。
廊下で女子社員数人とすれ違う。
！？
泣いてた？
１人の女子社員が横の女子社員に肩を支えられながら通りすぎた。

後「今すれ違った人、泣いてましたよね？」
主「うん。どうしたんだろ。仕事で失敗しちゃったのかもしれないね。」

若干の不穏な空気を感じながら第１営業部営業１課に着いた。
ほとんどの社員が営業にでているせいか廊下から見ても空席が目立つ。
沢山並んでいる机の所々で席について電話で話している人やデスクワークをしている人がいる程度だ。
もしかして松本さんも営業に出てしまったかもしれない。
遅かったかなぁ…そんなことを思っていると

後「Aさん。あの人が松本さんだと思いません？」

山田ちゃんが小さな声で話してきた。
山田ちゃんが見つめる先を見ると机でパソコンにむかう男性社員がいた。
机の周りには紙袋が数個。どの紙袋からも溢れんばかりのプレゼントが見えている。
確かにあれだけプレゼントもらってるのはアイドルに違いない。

主「あの人っぽいね。営業に出かけてなくてよかったね。」
後「そうですね。どうやって声かけます？」

さすがに勝手に中に入って行くわけにもいかず廊下の近くには誰も人がいない。
大声で呼ぶわけにもいかず私は壁をノックすることにした。

”コンコン”

人が少ないせいかその音は思ったよりも響いて数人がこちらを振り返る。
松本さんと思われる人も背をむけて座っていたが振り向いてこちらを見た。
目が合い思わずペコリとお辞儀をする。
すると、松本さんと思われる人は自分を指差し「俺？」とつぶやいているようだった。
頷くと一瞬面倒くさそうな顔をしたようにみえたが立ち上がりこちらに向かって歩いてきた。
実は違う人だったらどうしようという私の不安をよそに山田ちゃんが小声で言った。

後「絶対あの人ですよ〜！めっちゃ整った顔してますもん！」

山田ちゃんはワクワクしているかのようだった。

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