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赤い番傘の彼女 ページ3

男の肩に張り付くようにして憑いているのは
黒柳という妖、怪異だ

名前の通り
姿はドス黒い柳の葉っぱのようで

森に潜み、主に動物や人に憑いて
体の一部に長い体を巻き付け
生気を食う妖である



「黒柳というやつだ さほどの力はないが、憑かれると厄介だ
最後には生気を吸いつくされて あの世行きさ」



「そ、そんなものが俺についてるってのか」



男は顔を強張らせ、ヨミを不安げな目で見る



「こいつは、主に森や林それこそ柳なんかに潜んでる
何かの拍子に狙われたんだろうな
肩が痛いのもそのせいだろう」



「それでお前さんはその怪異だか妖を何とかするのを生業としてるってのか」



「そんなところだな、さあ後ろを向いて
力が弱いならそう時間はかからんさ」



ヨミは男に後ろを向かせると
水晶が埋め込まれた短剣を取り出した

黒柳に短剣を横に押したて
瞼を閉じ、また瞳を開く

すると左側の翡翠色の瞳がかすかに光を帯び
耳飾りが一つ揺れ、シャランと音を立てると

短剣全体が薄い緑色の光に覆われ
水晶も翡翠色に代わった

男の肩に憑いていた黒柳は
体をうねうねと捻らせながら悶え苦しんでいる

最後の一撃と言わんばかり
ヨミがふっと息を吐くと
黒柳の体は散り散りになり、砂のようになった

その砂のようなものをヨミは小さな小瓶に入れると
札をした


「終わりだ、どうだい肩の調子は」



「ぉお…肩が重くて痛かったのに、何だか軽いし痛みも少ないよ」



「それは良かった」



「何が起こったかよくわからないが、ありがとう」



「礼を言われるような事はしてないよ、さて私はこれで失礼する」


ヨミは木の根本に置いてあった木箱を背負うと
男に別れの挨拶をして また先に行こうとする


「あ、ちょいと、あんたの名前教えてくれよ」



「……祓い屋のヨミとでも」



「おう、本当にありがとうな!恩に着る!」


ヨミはふっと口元を緩め笑うと
再び野道を歩き出した。

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設定タグ:和風ファンタジー , オリジナル , ささくれ   
作品ジャンル:その他, オリジナル作品
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光芒(プロフ) - とても面白かったです!更新停止なさっているようですが大丈夫ですか?応援してます,がんばってください! (2016年12月17日 16時) (レス) id: 86ba02c6f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささくれ | 作成日時:2015年12月19日 0時

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