第14話 : 疑い ページ16
午前中の授業が終わり、ランチの時間になった。
生徒たちは一斉に廊下を駆け出し、ランチルームに向かう。
私は一緒に食べる相手がいないので、教科書をロッカーに片付けてゆっくり廊下を歩いた。
「Aちゃん!」
突然背後から声をかけられ振り返ると、そこには美少女二人が立っていた。
あまりにも私とは程遠い可愛さだったので、一瞬本当に自分のことを呼んだのかと疑ってしまった。
「私のことわかる?同じクラスの永野芽郁!」
「今田美桜です!」
そう言われて、確かに同じクラスに彼女たちがいたことを思い出す。
「もし良かったら私たちとランチ食べない?」
芽郁ちゃんに言われて、私は戸惑いつつも頷く。
こんなキラキラJKに誘われて断れるはずが無い。
そう思いつつも、私のことを見下したいだけなのではないか、などと馬鹿な考えが頭にチラついて、自分が嫌になった。
「私さ、入学式のスピーチ見た時からずっと話してみたかったんだよね〜Aちゃんと」
廊下を歩きながら、美桜ちゃんが言う。
「ありがとう。あ、Aでいいよ」
私は嬉しくて思わず頬が綻ぶ。
「じゃあ私たちのことも呼び捨てで呼んで!」
芽郁ちゃんが柔らかい笑顔で言った。
私は先ほどまでの考えを一瞬で捨てた。
こんな素敵な子たちが、嘘をついて私のような人間に近づくとは思えなかったからだ。
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作者名:佐々木さん | 作成日時:2020年12月7日 2時