第3話 : 校長と教頭 ページ5
「それでは改めまして、本校校長の小日向文世です」
職員室に入ると、まず最初に校長先生が出迎えてくれた。
小柄で、とても柔和そうな人だ。
私は校長先生の差し出す手を握る。
「いやあ、本当にありがとうね。新入生代表挨拶をAさんのような人に任せられるなんて、学校としても嬉しいです」
校長先生に褒められ、私は照れ隠しから苦笑する。
隣に立ってくれている星野先生は、私を見下ろして微かに笑った。
「明日の打ち合わせだけど、教頭先生が話をしてくれるから」
そう言って校長先生は教頭の名を呼ぶ。
奥の机から此方に向かってきた先生は、学校の教師とは思えないほど強面の人だった。
「どうも、教頭の遠藤憲一です」
教頭先生も、先程の校長先生と同様に私に手を差し出してくる。
しかし私は、背の高い教頭先生に鋭い目つきで見下ろされ、思わずたじろぐ。
「ほら教頭先生、また怖がらせてますよ」
そんな私の様子に気づいた校長先生が、教頭先生に声をかける。
「あれ、そうでしたか」
すると教頭先生は、その出立ちからは想像もつかないほど可愛らしい笑顔を私に向けてくれた。
「すっごく優しい先生なんですよ」
校長先生の助言に救われ、私は次は躊躇うことなく教頭先生と固く手を握る。
教頭先生は嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃ、こっちの部屋に入ってください。星野先生もご一緒に」
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作者名:佐々木さん | 作成日時:2020年12月7日 2時