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敦は成程と納得したのか呆れたのか
分からない言葉を吐き
ドラム缶を倒す
Aは地面にぶつかる前に受け止め
ゆっくりと下した
太宰はドラム缶から出て
大きく伸びをし、先程迄折れそうになった腰を
ボキボキと鳴らした
太宰「はあ、痛かった…
助かったよ敦君、A君
君たちが居かったら腰からぽっきり
二つ折りになるところだった」
敦「他の同僚の方に助けを求めなかったのですか?」
その質問に太宰は先程迄の出来事を思い出し乍ら云う
太宰「電話したよ、死にそうなんだけどって
そしたら皆口を揃えて
“おめでとうございます”だってさ
如何思う?」
太宰の問いに敦はでしょうねと苦笑し乍ら返す
日頃から自'殺だ何だと云っている人からの電話だ
聞き慣れた人からしたら
祝福の言葉が普通なのだろう
太宰「全く、異能力者って連中は皆
何処か心が歪だ」
『異能力に関わらず、人間誰しも歪だと思いますけどね』
Aは呆れたように返す
敦は不安そうに前を見て太宰さんという
太宰はん?と、敦の方を見る
敦「武装探偵社の所謂探偵の方たちは
やっぱり皆さん異能力者、なんですよね?」
太宰「そう!警察でも歯が立たない敵を倒す
武装集団だ」
其の言葉に敦は項垂れる
敦「やっぱり僕は探偵社には入れません…」
太宰「君も立派な異能力者じゃないか」
敦「確かに、虎に変身するのは異能力ですが…
僕は其の異能力を全く制御できません
唯無自覚に変身してしまうだけで
自分の意志で虎になることが出来ないんです
…だから僕が入っても何の役にも立てないと思います」
敦は太宰の方に体を向け、頭を下げる
敦「有難いお話ですが、スイマセン」
太宰「此れから如何するつもりだい?」
太宰の問いに敦は困ったような笑みで答える
敦「何とか僕にできる仕事を探してみようと思います
…そう簡単に見つかるとは思いませんが」
太宰「君が出来そうな仕事に心当たりがある」
敦は真坂の言葉にえ?と、驚く
太宰「良ければ斡旋してあげられるが?」
敦「本当ですか!宜しくお願いします!」
Aは嬉しそうに答える敦を無言で見る
A(敦さん、貴方きっと詐欺とかに
騙されるタイプですよ)
と思い乍ら…
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作者名:月夜のジョバンニ | 作成日時:2021年11月29日 19時