検索窓
今日:9 hit、昨日:46 hit、合計:24,162 hit

29 ページ32

『……』
太宰「……そりゃ、災難だったね」
そう云って太宰は机に背を向け席に着く
敦とAは元々座っていた席の向かいにある
座敷に腰を下ろした

国木田「それで小僧
  “殺されかけた”
  と云うのは?」
敦「あの人食い虎…僕を追いかける様に
  僕の行く処の先々に現れるんです
  この間も鶴見の辺りを歩いていた時に…

  施設を追い出された二週間前から
  何度もあいつの影を見た…
  僕を追って街まで下りてきたんだ」
敦の話が一区切りついたところで太宰は口を開いた

太宰「その虎を最後に見たのはいつの話だい」
敦「?…鶴見の辺りであいつを見たのが、確か四日前です」
其の言葉に国木田は
虎の目撃情報が書かれているであろう頁を見る
国木田「確かに、虎の被害は
  2週間前からこっちに集中しているな
  それに四日前に鶴見の辺りで虎の目撃証言もある」

其の言葉に太宰は少し考える素振りをする
太宰「敦君、A君、此れから暇?」
敦「え!?」
『私は暇ですが…』
体を跳ねさせ反応する敦と対照的に
平坦な声でAは答えた

敦(なんか猛烈に嫌な予感がする…)

太宰は机に向き直り紙に何か書いている
太宰「敦君、君が人食い虎に狙われているなら好都合だ」
敦「はあ?」

太宰は敦とAの方を向き、にこりと笑う
太宰「虎探しを手伝ってくれたまえ」
敦「い、いい、嫌ですよ!」

敦は勢いよく立ち上がって拒否する
が、太宰は特に気にしていないようだ
Aはいきなり立ち上がった敦の方を見る

太宰「国木田君は社に戻ってこのメモを社長に」
そう云って国木田に先程書いた紙を二つ折りにして渡す
国木田「おい、三人だけで捕まえる気か?
  まずは情報の裏を取って…」
太宰「いいから」

太宰は薄く笑った
その顔を見た国木田は黙って其のメモを受け取った

敦「僕は嫌ですからね!
  其れってつまり、”餌”ってことじゃないですか!
  誰がそんな

太宰「報酬出るよ」

  え?報酬?報酬って…いやいやいや…
  そんな物じゃ釣られませんからね!
  ち、因みに参考までに聞きますが…
  其の、報酬というのは…?」

其の言葉に太宰は敦に電卓を見せた
其処には0が沢山ある数字が映し出されえていた
其れを見た敦はひょォ!という声を出す

30→←28



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月夜のジョバンニ | 作成日時:2021年11月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。