心做し

31 ページ32

『ど、どうしたの』



何テンパってんだわたし。


別にやましい事なんてない


後輩と話してただけ


そりゃ、向こうは私に好意があるけど
私はのんちゃんのこと別にすきじゃないし




「何話してたの？」


『んー、世間話ですよ』


「ふはっ、真面目に聞いてるんだけど」


『ただの世間話ですよ。』


「へー、仕事中に？」


『先輩だって 、こんな所でなにやってるんですか？後輩の話を盗み聞きなんて性悪ですね？』




嫌味ったらしく笑ってみせると

「お前そんな性格悪かったっけ」

って、淳太も笑って見せた




『性格わるいですよ。先輩は私のこと何も知らないですもんね。』



「…は？」



どういう事やねんって顔をして
私にいっぽ近づいた



どきって胸が高鳴って



まだすきなんだよなあって実感する




もう怖がらない




はやく今の状況を抜け出さなきゃ




上手くいかなくてもいいから

そばに居たいなんて嘘だもん

この人には変わりはいくらでもいる




気づいてしまった彼のおもちゃは
捨てられていくことを私は知ってるよ





『あ、そうだ。喫茶店で会ってた男の人
私の元カレですから』




淳太はさ、




私が元彼にあってるって知ったらどう思うん




もしね、




ここで突き放されたら




私はきっともう淳太の前に現れないから






「 …そう、」




『それと私…、』




「なに？」





『今回の企画が終わったら濱田さんの所に移動になりますので。

…今まで色々とお世話になりました』





もう、




淳太の事を忘れよう





驚く淳太にとびきりの笑顔をみせて
オフィスへと戻った




･

32→←30

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す