キスにハマった赤井さん【赤井 秀一】

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(やはりな…)





沖矢は目の前にいる男を見て
クイっとメガネを上げた





一方、その男は険しい表情だ





「おや、そちらもお買い物ですか…」





穏やかな声で沖矢が話しかければ





「ええ、ポアロの買い出しですよ」






と、男は言った







その男とは、勿論
トリプルフェイスこと 安室 透 である









そして、安室はAを見て





「そちらは呑気にデートですか」





と、沖矢をジロっと睨みつける









(あっ、新一の言ってた
公安の人だ…！)






Aは明らかに沖矢のことを
良く思っていない安室をマジマジと
眺めていた





以前、新一から安室のことを聞かされ
赤井のことを疑っている要注意人物だと
言われていたのだ


そして、それに加えて
この顔面偏差値の高さである


金髪、蒼眼に褐色の肌
何よりイケメンなのだから
誰だって興味を持たない筈がない







(こりゃまた、イケメンさんなことで…)



何て思っておきながらも



(私は赤井さんのが好みかなー)



と、隣の沖矢をチラッと見る








ただ、Aとしては
この外見だけで言えば経験豊富そうな男と
キスをしてみないと思わなくもないわけで…









何やら険悪なムードで話している
２人の様子など全くもって気にせず






『安室さん…ですよね？

私、昴さんと一緒に生活をしている
工藤 A です』






和かな笑顔で安室に声をかけた







「安室 透 です
へぇ…、同棲しているんですか…」







自己紹介も簡単に済ませ
安室はAの言葉に目を細めた




とは言っても、流石は公安
実はAと沖矢が同棲していることなど
とっくに知っている




その時点でAが一般市民であることも
入手済みだ









『私とお試しでいいので
今ここでキスしてくれませんか？』








まるで何も知らない少女が
大きくなったら結婚しようとでも言うような
可愛らしい表情でAは言い放った








「は…？」



「なっ…！」







突然のAのトンデモ発言に
あらゆる場面に対応出来るように
訓練を積んできた男たちも
驚きを隠せないまま固まった





そして、念のためお伝えするが
ここは公共の場、スーパーの中である









「…何を言っているんですか？」




「はぁ…」








やっとの事で言葉が出た安室に
頭を抱えてしまった沖矢



だが、Aはお構いなく
にっこりと微笑んでいたのである

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