雄英脱出【死柄木弔】 (ページ21)

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わがままページ21

「ほらしゃがめよ」

「なんで俺が下なんだよ」

　「俺の方が華がある」

こいつ、色取彩人は俺の洗脳を見破った。ヒーロー科の連中には割れてないはずなのに。さっき話しかけた時も全部見透かされてるみたいな、色取の所作全部がなんか、手玉に取ってくる感じ。

後ろの騎馬は洗脳で適当に集めた。多分どっちも色取のクラスメイト。だけどこいつは知らない振りなのか本当に知らないのか、あやふやにして誤魔化した。

　「俺の個性は視覚操作。泣いちゃう」

「適当…作戦は俺が馬、お前が騎手を狙う、それでいい？」

　「りょーかい」

こいつの顔はにやにやと怪しさ満点だ。でもさっきの微笑みは油断誘って強いんじゃないか。まあ、関係ない。いざとなれば俺が洗脳する。色取も。

　「俺他人の言うこと聞かない。そういうお育ちなんだ」

「…そーかよ、お育ちがいいと大変ですネ」

やっぱり見透かされてる。

　「ほら頑張ってね。」

「魔性野郎。」

人を使って自分は動かないってか。

【STARRRRT！！！！】

　「視界奪う」

周りが視界の異変に気づいた時、顔は見えないがこいつの声は笑っていた。

だけど、俺は俺のことするだけだ。

「止まれ。」

「あぁ゛？あ」

「おいどうした！？」

馬は動かない。色取は騎手の額に手を伸ばす。それに反応して騎手は抵抗しようとする。だけど一瞬緩んだ。色取が俺にやったように、言ってしまえば色仕掛けだ。

　「ねえ、頂戴？だめかな？」

「へ？あっ！！」

慣れた手つきでするりと優しくハチマキを奪った。

　「ははっ逃げろ逃げろ」

「個性使えば」

　「一回戦でキャパ削れてんのー」

首に奪ったポイントを掛けながらそう言う。胡散臭いがそうらしい。証拠に敵に俺たちがまるで見えていないような時がある。色取は敵騎馬の横を通るたびに奪っていく。しかもバレない。

　「俺もっと目立ちたい。ほら1000万がトドロキ君の元へ」

「行かない。」

　「嫌だね。目立たなきゃいけないんだよ。」

「ッ！！」

俺の視界を奪いやがった。洗脳でなんとか…。無理だ。こいつは絶対応えない。

　「キミが動かなきゃ僕らのポイント取られるよ」

「チッ」

大人しく指示に従う。

　「なぁ！！！それくれよ！！！！」

色取は騎馬から飛び降りた。その瞬間視界が元に戻った。こいつポイントしか見てねえんだ。個性使う暇もなく。綺麗なくらい目がギラついていた。

轟の首に手が掛かる。取れる。

　「あ」

【終ッッッ了ー！！！】