雄英脱出【死柄木弔】 (ページ19)

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ダチページ19

「てめぇ！！騙したな！？」

崖から落ちていった奴らを思い出す。俺を信じきって、仲間意識芽生えちゃって、落っこちちゃって。だめだ笑いが堪えきれない。

　「ﾊﾊｯははは、ふ、」

何やってんだろ俺。

そりゃ目立つために、見てもらうために俺が望んでやったことだ。だけど罪悪感を感じてしまう。USJの時に切島の前で泣いた。あの時と同じ気持ちだ。

落ちていった奴らはみんな馬鹿だ。障害物走はコースアウトしなきゃ何でもいいんだから俺は悪くない。はず。いい子でいたくない。死柄木さんに、認められたい。

切「彩人ーー！！！！」

　「ッ！！」

背筋が凍ったような感覚がした。俺がやったこと。やった時は快感があったこと。そのあと罪悪感を感じてること。全部バレてしまう。

切「お前やっぱりすげえな！！！」

　「あ…」

切島の笑顔。ぼろぼろで汚れている。だけど混じり気のない目だ。初めて死柄木さんに会った時と同じ感じがする。俺を見てるのか？視界を、視界を覗けば。

涙が落ちた。

キャパだ。涙腺が決壊した。

切「泣っ！？そっかお前めちゃ頑張ってたもんな！」

　「なんも見えないや」

切「なら俺が引っ張ってやる！」

涙で前が見えない。今度は俺が見えなくなった。切島は俺を導いて、俺はそれについていくしかない。でも切島は俺の右手をしっかり掴んで俺を連れて行く。手についた泥と切島の手の温かさだけがわかった。

　「崖から落としたりしない？」

切「お前じゃねえんだから。」

不安が笑い飛ばされた。俺の心配を切島は気にもとめてなかった。正直安心した。拍子抜けって感じだ。遠くで爆発音が聞こえる。地雷エリアが近い。

　「俺目見えてないから置いてけよ。足手まといなだけだ。」

切「ばっ！そんなことしねえ！馴れ合いとか良くないけどさ、やっぱダチだろ？それにお前のおかげで前に進めたんだぜ！？」

　「えっ、わ」

ふわっと体が浮く。上に投げられた？わからない。だけどこれだけはわかる。大丈夫だ。落ちると同時に腕らしきものが俺を迎えた。

切「ラストスパートだ！！行くぞ彩人！！！」

もしかしたら俺、担がれてる？下からは爆発音が響いている。だけど俺には被害がない。切島は地雷なんてお構いなしに突っ走ってるんだ。硬化して。

　「ほらもっと頑張れ」

切「おまえ覚えてろよ！？」

【9、10位、切島鋭児郎！！色取彩人！！】

歓声が聞こえた。