雄英脱出【死柄木弔】 (ページ15)

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モノクロの少年ページ15

黒「何をしているのですか？死柄木弔」

死「…録画」

黒「珍しいですね。」

そこからは返事がなかった。

最近の死柄木弔は苛立っている。雄英の襲撃に失敗して、より首を掻きむしるようになった。それも彼の成長のためなら私は静かに見守らないといけない。

黒「何か気になる番組でも？」

死柄木弔が張り付くように見ているテレビ画面。どうやら録画しているのは雄英体育祭のテレビ放送版のようだった。死柄木弔が録画するものと言ったらどうしても気になっている映画か戦隊モノの子供番組くらい。

それに死柄木弔はヒーローを憎んでいるはず。多少の好奇心からリアルタイムで視聴することはあっても、今まで録画まですることはなかった。

死「何となく、気になる子がいるんだよ。」

黒「色取彩人ですか？」

死「そんな感じ。」

こんどはそっけない返事。

色取彩人。たしか黒髪の少年。死柄木弔に何か引っかかるところがあるのだろうか。私がその少年に会ったのは雄英襲撃の時。死柄木弔に頼まれて彼をワープさせた。見たところ何事にも無関心な印象があった。

死「…アヤト君は、良い子ちゃんだよ。」

黒「…というと？」

死「そのまんまの意味。」

彼は「味気ない子だよ」と独り言のように呟いて再びテレビへ興味をうつした。

色取彩人。味気ない少年。

初めて少年に出会った死柄木は大変嬉しそうな顔をしていた。まるで古い仲間と再び出逢えたかのように。

雄英へ資料を盗みに行った時も死柄木は嬉しそうだった。珍しいことがあるものだといつも通りワープさせたが、3回目はそうもいかないらしい。

死柄木弔は何を考えているかわからない。色取彩人の個性を気に入ったのか。それとも別の要因なのか。考えても仕方ないことなのかもしれない。

黒「夕飯ができました。」

死「ん。」