雄英脱出【死柄木弔】 (ページ42)

今日:8 hit、昨日:70 hit、合計:102,947 hit

JとA ページ42

アラームが鳴る。

朝が来た。外は快晴で、昨日俺を殴った母はまだ帰ってきていない。背中が痛む。

今日から林間合宿だ。
__
_

「じゃじゃーん！トランプ〜！！」

学校についてすぐにバスに乗せられた。俺の隣には当たり前のように切島が座っている。こいつは俺の顔面にトランプを近づけてアピールした。

「ババ抜きしようぜ！」

俺が無視してもお構いなしに慣れた手つきでトランプを切る。素早く混ざっていくのが俺にとっては新鮮。

　「俺、ばばぬきしたことねえ」

切島は硬直した。そんなにおかしいことなのか？今まで友達もいなかったし、そういう娯楽とは無縁だった。

　「なんならトランプ触ったことすらない。」

「逆にすげえええ！！」

切島は自我を取り戻し驚愕した。切り終わったトランプを半分に分けて分厚い束の片方を俺に渡し、「教えてやんよ」とドヤ顔で意気込んだ。ちょっとムカついた。

「簡単に言うとジョーカー持ってたやつが負けのゲームだ」

　「ジョーカーってこれ？」

自分の手元から高らかに笑うピエロの絵を取り出す。コイツが悪役で持ってると負ける。ハズレなのか。そっと切島の手札に入れた。

「おいスッて入れんなよ。あ、これ見ろよ」

　「ハートの11？」

切島はニヤニヤしながら俺に言う。

「これ、ジャックって言うんだぜ。なんかお前っぽいよな！」

　「アイジャック、ジャック…くだんねー」

そう言いつつゲームを始めた。2人でカードをやりとりする。こいつは顔に色々出過ぎてておもしろい。

最後に切島から引いたカード。ふと思い立って、切島にずいっと見せる。

　「これ、お前みたい。」

一瞬ポカンとあほ面を見せた後、眩しいくらいの笑顔が俺に向けられた。ニカッと効果音が付いてた。嘘じゃない。

「ダイヤのエース？お前そんなこと思ってたの！！カッケェ！」

　「ハイ、あがりー」

「なっ！！！」

そんなバカなことしてるうちにバスが停止した。

「あれここ、パーキングじゃなくね？」

あたり一面木。これから何が起きるんだ？ぼんやりしていると後ろの方から元気でうるさい声が聞こえてきた。

「煌めくまなこでロックオン！」
「キュートにキャットにスティンガー！」

猫を模したコスチューム。プッシーキャッツと名乗るそのヒーローに背中がゾワゾワする。

先生たちの話は右から左へと流れていった。唯一聞こえたのはこれ。

「魔獣の森を抜けて！！」

マジュウのもり…？？

気づけば俺は土流にぶっ飛ばされていた。