雄英脱出【死柄木弔】 (ページ40)

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雨のちページ40

障子と向かい合う。背中からナイフを取り出して懇願の顔。

　「タコちゃんのそれ、ちょーだい」

「こっ、これのことか…！？」

　「複製なら痛くないんでしょ？」

「人としては最悪だからな。」

障子の腕には膜みたいなのが張ってる。それが2、3枚あれば俺の盾にできる。ある程度攻撃を防げる。最悪なのは否めないけど。

「爆豪に次ぐ不良だお前は。仕方ない、腹を括るか…。」

別に腕を切り落とすんじゃない。膜をもらうだけ。それだけ。刃をたてる。撫でるように切る。血も出てないしうめき声もない。

　「できた。」

「…それで？どうする。」

　「俺がこれに隠れて先生をの位置を見る。視界を消す。その間にお前はゲートへ。俺はせんせーを捕まえる努力をするよ。」

こんなクソゲーさっさと終わらせたい。障子の膜を簡単に繋ぎ合わせて盾にする。先生は意外とすぐそばにいる。この会場に散らばってる監視カメラの一つに映っている。ぼやけてるけど。

気配を消すのはヒミちゃんに習った。切島にバレないくらいには上達した。おまけに土埃。障子のガードもある。俺が頑張れば終わるんだ。撃たれてもいい。そんなに痛くないはず。

「…色取は大丈夫か？」

　
　「は？」

相変わらず銃弾は降り注ぐ。障子は俺を心配した。気味が悪いと感じた。理由は分からない。障子の優しい目に居心地が悪くなって「残り時間少ないから」なんて言い訳をして柱から飛び出した。

息を潜めて、土煙と一体になって、せんせーを探す。バレてない。影が見えた。せんせーは乱射しまくって俺たちを止めてタイムオーバーを狙ってたんだろうけどそうはいかない。

　「奪った…」

弾丸の雨が止んだ。

土煙も晴れてせんせーのマスクが完全に見えた。足音を殺して走る。背後から狙う。

　「勝っ」

バン

障子の盾が吹っ飛んだ。あーらら。

「最高の作戦だなアイジャック。ちょっと惜しかった！」

　「見えてねーのに！ソンケーだわ！！」

ナイフを取り出す。せんせーは俺の音を頼りに狙いを定める。対人用の威力が弱いやつと見た。

気配を消して、飛びかかる。

「バレバレだぜ」

　「あっ」

思いっきり回し蹴りを喰らった。着地もできず背中を打って逆に俺が捕まっちゃった。もうダメだ。馬乗りバンザイ。

　「アイツは良いの？」

「ゲートに罠張っといた」

　「容赦ー」

どんなに暴れてもびくともしない。諦めた。

その時、声がした。

「スナイプ、確保です。」

　「え、しょーじだ…」