ひんやり ページ6
「ソイツの個性は知っている。便利な駒になりそうだ」
治崎の言葉を聞いて死柄木さんは眉を顰める。手で見えないけれどそんな感じだろう。
「…アヤトくん、外出てて」
死柄木さんは思うようにいかないイライラをじっと堪えている。リーダーとして大人になろうと、冷徹になろうとしていた。
それに俺の耳に届けたくない話をするんだろう。
親の駒だった俺の過去を知っているから、やっと自由になった俺のことを気遣ってくれてるんだ。死柄木さんなりの優しさなんだと思う。
「ミミック、監視しておけ。」
「わっ」
ほとんど強制的に外へ放り出された。廊下は冷たくて暗い。ミミックとやらは監視を命じられた割に姿を現さない。どっかに隠れてんのか？
「おーい、出てこいよ」
視線を感じる。どうやら仕事はしているらしい。多分隠れる感じの個性だから害はないだろう。視界を奪いたいところだが、本体が見えないとどうしようもない。
「虐めたりしないからビビんないで。顔見せてよ」
しばらく煽っていると天井がモゾモゾと動いた。ぬっとナニカが出てきたと思えば、それは筋肉質な大男。こいつがミミックか。
「黙って聞いてりゃ、舐めてんのかクソガキィ！！！！」
「出てきた」
奇声をあげながら殴りかかってくる男。ヤクザってヤバいのばっかだ。
スッと避けてアイスピックを取り出す。義爛って奴が改造させた代物で、前のより軽いし鋭い。1番のポイントは針は伸縮するトコ。
気配を消して視界を奪う。背後から突き刺そうとした。でもよく考えたらその行為は死柄木さんに迷惑がかかる。
ヤクザって生き物は仲間を傷つけられると大変遺憾らしい。
俺のバカな行動でヤクザを食い散らかす計画がダメになったら死柄木さんは嫌なはずだ。よし、俺は偉いから刺さないぞ！
「動いたら、わかるよな」
視界を奪われたソイツに話しかける。アイスピックを横倒して優しく撫で付ける。金属の冷たさにソイツの首はヒヤリと鳥肌を立てた。
「俺がしたコトは誰にも言うな。もうお前の位置は把握できるから。約束できる？」
後ろから顔を覗き込む。何の役にも立たない目を見開いた恐怖の表情。
氷のように固まった体から手を離す。足蹴にして壁の中に戻した。もし誰かに話したらどうしようか。壁ごと爆破してやろう。
結構暴れちゃったけど、音とか聞こえてなかったかな。まあドアも壁も分厚そうだし、大丈夫か。
視界は奪ったままで、その場を後にした。
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ゆずな - この作品めっちゃ好きです！続き待ってます( *´꒳`* ) (4月22日 8時) (
レス) @page47 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 連合のみんなと仲良いいのめっちゃ好きです！大好きです！！！ (3月24日 1時) (レス) id: 22eb9a9e70 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - めちゃくちゃ面白いですね！更新がんばって下さい！ (10月9日 0時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
Mika(プロフ) - 小説の中で一番これが好きです。これからも頑張って下さい (2023年4月28日 22時) (レス) id: 0ecb511d32 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 魔水さん» ありがとうございます！励みになります (2023年1月10日 22時) (レス) @page2 id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞘駄 | 作成日時：2023年1月9日 1時
