眠い目 ページ45
「あれ、俺今…」
綺麗だって思えた。どんな夜景より、夕焼けより、死柄木さんが壊した景色が俺にそう感じさせた。なんでだ？でこぼこでガタガタの、水平じゃない水平線が。
相変わらず真っ黒い涙は止まらなくて、体も動かない。トゥワイスの複製達が俺を持ち上げて死柄木さんのところへ連れていく。生贄にされてる気分だ。
「イロトリも動かなくなっちまったよ！」
「これじゃゼンメツだな！」
「いやまだ荼毘とミスターがいる」
「なんだヨユーだな」
「俺もってことは、どうしたの」
空を見つめたままトゥワイス達に聞く。みんな無事だとは思ってないが気になるものは気になる。さっき出た名前からある程度誰がダメになったかは絞れるが。
「トガちゃん死にかけてんだよ！！」
「ありゃもう助からないね」
「縁起でもねぇこと言うな！！」
「なんだとこの！！」
「ぶっ殺してやる！！！！」
「うるせぇ！！頭痛くなるだろ」
「ごめん」
「ごめん」
「ごめん」
デカめのため息をこれみよがしに吐いて、隣で俺と同様に運ばれる義爛に話しかける。
「新しい服ちょーだいね。助けてやったからな」
「学ラン似合ってるよ」
オッサンと言う生き物はみんなこうなんだろうか。これのどこがいいのかさっぱり分からない。それに俺の冷たい視線を受けても嬉しそうにしてるその精神もどうかしてると思う。
「オッサンっていうのは活きがいいワカモノが好きなのさ」
「キショい！！」
「寒気がするぜ」
トゥワイスはオッサンじゃないのかという疑問は置いておいて、俺はそうなりたくはないと切に思った。
__
___
しばらく歩いただろうか。一定の間隔の穏やかな揺れにうとうとしていた。走って泣いて、体力を消耗したからだろうか。寝るか寝ないかな瀬戸際。ねむいめの俺にトゥワイスが優しく声をかける。
「イロトリ、降ろすぞ」
「んあぁ寝てないよ」
「ギリギリな。」
そっと地面に降ろされる、かと思いきや俺は誰かに受け渡された。涙の止まらない目を開けてその人を見る。
「どうして泣いてるの」
不機嫌そうな死柄木さんの顔があった。いつも張り付いてる手は無くて、その優しい目がよく見えた。泥まみれで血塗れの戦う彼とはまた違う、その顔がなんだか不思議な感じだ。
「戦ってないし、怪我もしてない」
「なら何で、黒い涙なんて初めて見た」
「…俺も」
死柄木さんは血塗れの手で俺の涙を拭った。涙は止まらなかったが、これまでのどんな手よりも温度があった。
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ゆずな - この作品めっちゃ好きです！続き待ってます( *´꒳`* ) (4月22日 8時) (
レス) @page47 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 連合のみんなと仲良いいのめっちゃ好きです！大好きです！！！ (3月24日 1時) (レス) id: 22eb9a9e70 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - めちゃくちゃ面白いですね！更新がんばって下さい！ (10月9日 0時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
Mika(プロフ) - 小説の中で一番これが好きです。これからも頑張って下さい (2023年4月28日 22時) (レス) id: 0ecb511d32 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 魔水さん» ありがとうございます！励みになります (2023年1月10日 22時) (レス) @page2 id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞘駄 | 作成日時：2023年1月9日 1時
