全力疾走！！ ページ44
今朝から個性の調子が変だった。変と言っても、上手く発動しなかったりキャパが少ないとかそんなんじゃなくて。その逆の何もかもが上手くいくような万能感。
現に普段なら短時間しかできない、俺だけの姿を消す「操作」がいっぱい使えてる。涙も全然出ないし霞もしない。絶好調以外の何者でもなかった。
今ならなんでもできる。ここにいる全員の視線を奪いながら逃げてやるぜ！！
「目！？特に変わりはないよ！と言うか走れって！！」
「走るなんて何年ぶりだか…」
死柄木さん超やばい！触れてないところまで崩壊してる。この目で直接見れないのが惜しいところだけど、あのハゲの視界を覗いて我慢する。
鼻血を出して、フラフラな死柄木さん。手のひらが引きちぎれた死柄木さん。戦ってぶっ飛ばされてもただ前を向く死柄木さん。ただ壊すだけ、空っぽな目の死柄木さん。とっても綺麗だ！！
全部全部俺に向けられたものじゃないのに、俺怒ってるのかな？わかんないけど心臓が破裂しそう！！ああ、好きだ。好きな気持ちが抑えられない。少しでもこの目に納めたい！！
宗教大好き市民達は俺とすれ違うたびに俺に釘付けになっていく。そのまま崩壊に飲まれても尚、俺を見ている。俺見られてる！！もっと見ろ！！
とっくにキャパは来ている。涙で顔面がすぶ濡れで、全力で走るから風で乾いて、清々しくて最高に最高！！頭も悪くなってきてる！！
「あはは！！楽しい！！」
「この子やばい！！！」
______
_____
しばらく走っただろうか。
ぐしゃり
膝から崩れ落ちた。それはもう豪快に。顔面をアスファルトに擦り付けてゆっくり潰れると、地面が真っ黒になっているのに気がついた。慌てて起きあがろうとするが力は入らない。
「俺、今どうなってる…？」
「涙が、真っ黒になってる」
「なんだってー！！」
「まだハイなの…？おじさん付いてけないよ…」
掌で目を拭うとこちらも真っ黒。「墨」って感じの黒。義爛の視界から俺の顔を見ると、確かに俺は黒い涙を流していた。
幸い顔面は真っ黒になっておらず、少し残った涙の跡は擦ったら消えた。でも全然泣き止む気配はない。
「なにこれ…」
「涙が黒いのもそうだけど、目の色！！薄くなってるよ！！」
「…ホントだ」
前にドクターが言ってた、毒の排出の超やばい版なのかな。いつものと違って何も見えなくなる訳じゃないから良かった。
「…死柄木さんが勝ったよ」
こんなに歪で綺麗な水平線が見れたからな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 285人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです！続き待ってます( *´꒳`* ) (4月22日 8時) (
レス) @page47 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 連合のみんなと仲良いいのめっちゃ好きです！大好きです！！！ (3月24日 1時) (レス) id: 22eb9a9e70 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - めちゃくちゃ面白いですね！更新がんばって下さい！ (10月9日 0時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
Mika(プロフ) - 小説の中で一番これが好きです。これからも頑張って下さい (2023年4月28日 22時) (レス) id: 0ecb511d32 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 魔水さん» ありがとうございます！励みになります (2023年1月10日 22時) (レス) @page2 id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鞘駄 | 作成日時：2023年1月9日 1時
