過保護ブースト ページ31
翌日。ダビさんに急かされながらも、俺はテレビを見た。馬鹿みたいに騒ぐメディアに、ランキングに入れてウキウキしてるヒーローが鼻につく。
見れば見るほど気分が悪くなる画面だが、ホークスとの約束のためにソファでじっとしていた。
____活動休止にも拘らずNO.3！ベストジーニスト！！
「これ、誰だっけ……あ！！」
画面にホークスが映し出された。大ゲサな紹介とともに怠そうな顔をしての登場は、一瞬通り過ぎた疑問を消し飛ばずには十分だった。
____速すぎる男！ウイングヒーロー、ホークス！！
「NO.2だったんだ。アイツ」
最後にNO.1が紹介されて、エライ人のエラそうな話が続いて、ヒーローたちの当たり障りないコメントが流れた。相変わらずホークスは不機嫌そうな顔をしてそれを聞いている。
とうとう我慢ならなかったのか、お口のチャックが開いてクソ生意気な言葉を垂れ流した。会場が凍りつく。俺は笑いを堪えようとして脇腹が攣った。
___最後に「アヤト！そろそろ行くぞ」
最後のセリフはダビさんの声に遮られてしまった。気にならないと言えばウソになるが、ダビさんのお手伝いが優先。さっさとテレビの電源を切って、アパートを出る。
今にも壊れそうな外階段を登って屋上へ向かう。周りはビルの壁に囲まれていて景色は全く良くない。生臭い風が頬を撫でた。
「それが脳無？」
「そ。フードチャン」
「あー、ヨシヨシ」
この脳無は黒くて悍ましい見た目とは裏腹に、頭を撫でられて嬉しそうに擦り寄ってくる。見た目が犬だったらまだ可愛かったかも。俺はマトモだから知ってる。コレ、可愛くない。
「脳無って懐くのか。お気の毒に」
「…早く終わらせて」
「はいはい。ほら、行ってこい。」
ダビさんの声に反応して、フードチャンは街の方へ飛んで行った。今から大体一時間後、ホークスとエンデヴァーが街へ来る。そこを襲わせて、ホークスが信用に値する人間が見るらしい。
「手伝いって何するの」
「あー…うーん。応援？」
「……は」
「お前1人じゃ心配なんだって」
「騙したな…」
やはり過保護がブーストしてしまった。手の届く範囲にただ置いておきたいだけだったのかよ。縛られていないだけマシなのか？昨日の帰りが遅かったばかりに。…俺テレビ見れたじゃん。
「…さ、俺らも街へ行こう。フード被れ」
「話逸ら、うわわ」
乱暴にフードを下げられて強制的にこの話はおしまいになった。俺ってそんなに信用ないのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 285人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです！続き待ってます( *´꒳`* ) (4月22日 8時) (
レス) @page47 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 連合のみんなと仲良いいのめっちゃ好きです！大好きです！！！ (3月24日 1時) (レス) id: 22eb9a9e70 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - めちゃくちゃ面白いですね！更新がんばって下さい！ (10月9日 0時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
Mika(プロフ) - 小説の中で一番これが好きです。これからも頑張って下さい (2023年4月28日 22時) (レス) id: 0ecb511d32 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 魔水さん» ありがとうございます！励みになります (2023年1月10日 22時) (レス) @page2 id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鞘駄 | 作成日時：2023年1月9日 1時
