抱きしめる ページ27
引っかかっていた羽を全部取り終わると、コイツは「喋りますか、」と改めた口調で言う。不自然な喋り方が面白かったのて鼻で笑うと、安心したようにまた口を開いた。
「立ち話もなんだからさ！」
「え、ちょ、」
ホークスは俺の腰を掴むと、背中の翼を広げた。この路地はコイツには狭すぎるらしい。3回羽ばたく間に、足は地面と離れて、一分もしないうちに、元いた道は小さくなってしまった。
「っ、たっか…！」
「落とさないから安心して」
「これなら立ち話の方がマシ！！」
冷たい風が頬を撫でる。コイツが猛スピードで飛び続けているから。遠くの方を見ると日は西に傾いて、上空からの景色はオレンジ色に染まっていた。
「チョー綺麗じゃない？？俺この時間に飛ぶのが一番好き」
「そう…」
「あ、ちょっと！会話のキャッチボールをしようよ」
喋ることを承諾してしまった手前、断れない。俺だって上手く喋りたいと思ってる。けど、ニガテなんだ。こういうの。
こっちに来てからはヒミちゃんとダビさんくらいしかマトモに喋れる人はいないし、死柄木さんとは目も合わせられない…。最近忘れてたけど、俺はもともと口数が少ない方だった、気がする。
ホークスは俺が何か言うまで話を振るつもりはないらしく、さらにスピードを上げた。風が強くてサムイ…。何か言わないと…、言わないと。
「…空を飛ぶのって、どんな気分なの」
口をついて出た言葉だった。なんでこう思ったのか自分でもわからない。コイツは俺が口を聞いたのを嬉しそうにして、ヘラヘラ笑った。
「空飛ぶのは、速くて、広くて、自由で」
「羨ましい。」そう口に出そうになった。もし小さい頃の俺に翼があったら、母親から飛んで逃げて、それからもっといい人生歩めたかな。
ホークスが俺にないものを持っているように思えて少し憎たらしかった。
俺が下を向くと、コイツはスピードを落として、そのうち止まった。風の音が止んで、その場で羽ばたく音だけがよく聞こえるようになる。再びホークスは口を開いた。
「そんで…寒くて、責任ばっかで、独りぼっちで寂しい。」
「え…」
「でも今日は話し相手がおるけん、寂しゅうなかね」
ホークスは何故か俺を抱える腕をよりキツくした。苦しいくらいだったが、不思議と抵抗する気は起きない。もう憎たらしいとも思わない。ちゃんと喋れる。
「それって方言？」
「可愛らしかろ？」
俺も真似してみる。
「…せやな」
「それ関西弁」
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ゆずな - この作品めっちゃ好きです！続き待ってます( *´꒳`* ) (4月22日 8時) (
レス) @page47 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 連合のみんなと仲良いいのめっちゃ好きです！大好きです！！！ (3月24日 1時) (レス) id: 22eb9a9e70 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - めちゃくちゃ面白いですね！更新がんばって下さい！ (10月9日 0時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
Mika(プロフ) - 小説の中で一番これが好きです。これからも頑張って下さい (2023年4月28日 22時) (レス) id: 0ecb511d32 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 魔水さん» ありがとうございます！励みになります (2023年1月10日 22時) (レス) @page2 id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞘駄 | 作成日時：2023年1月9日 1時
