第七十一話「笑顔」 ページ29
．
ネオンちゃんの周りには人がいて、その人たちから必要とされていて、愛されていて。
そこには明るい空気が流れているように見えた。
でも、違うの＿＿？
なんで目の前の彼女は、こんなにも孤独そうなのだろうか。
『ネオンちゃん、行こう』
「え？」
『オークション！』
少し驚いた様子を見せるネオンちゃんの手を引いて、私はトイレの出入口へと向かった。
そして、センリツさんたちからは死角になっている位置で一旦足を止める。
『あの人混みに紛れて行こう』
空港ということもあって沢山の人がいる。だからそれを利用してここから去る。
となりを見ると、ネオンちゃんがコクンと小さく頷いていた。
『今だ！よし、行くよ！』
「うん！」と言うネオンちゃんの手を引いて、上手く人混みに紛れ込むことに成功した。
私たちはそのまま力尽きるまで走る。少しでもセンリツさんたちから遠ざかるように走ったんだ。
「はぁ〜もうだめぇぇぇ」
『わ、わたしもぉぉ』
空港から外に出るまで、ずっと走り続けていた私たちは、道の隅でドサッと座り込む。
お互い息切れや汗がすごい。
久しぶりにこんなにも走った気がする。
「プッ、ハハハハ！」
はぁはぁと息を切らし汗を拭いながら、突然ネオンちゃんが笑い出した。
お腹を押さえて笑い続けるネオンちゃんにつられて、私も『ハハハ』と笑い声が出る。
何が可笑しいのかわからない。
でも、何かが可笑しい。
『「アハ…ハハ、ハハハ、！」』
息切れで、途切れ途切れになる私たちの笑い声が、星の浮かぶ夜の街に響いていく。
＿
＿＿
ネオンちゃんは服の汚れをパンパンっと払い立ち上がると「私ね…」と口を開いた。
そんなネオンちゃんを私は黙って見上げる。
「私ね…占いが得意なんだ。パパを通してえらい人に頼まれることもあるの。パパは占いのことをすごく褒めてくれて、」
「でもね、」と言って、私に背中を向けるネオンちゃんの声はすごく悲しそうだった。
「私、知ってるんだ。パパにも…周りの人たちからも…道具としてしか見られていないことを」
震えたような声が耳の中へと入ってくる。
ネオンちゃんの顔のあたりから何かが…ポタッと地面に落ちた気がした。
『ネオンちゃ…』
「ねえA」
私の声に、ネオンちゃんの声が重なる。
「私を助けてくれてありがとう」
くるりとこちらを向き、まつ毛を光らせながら笑うネオンちゃん。
その笑顔は、とても美しかった。
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じゅな(プロフ) - ずっと待ってます！ゆっくりでもいいので更新してくださると嬉しいです！ (4月18日 17時) (
レス) id: 63d6ee7837 (このIDを非表示/違反報告)
あ3 - 更新楽しみにしてます､､､､めちゃ好きです (2022年11月1日 16時) (レス) id: b2be5c4b6e (このIDを非表示/違反報告)
キエラ(プロフ) - 久しぶりに見に来たら更新されてて泣きました(´；ω；｀)これからも更新楽しみにしてます...！ (2021年12月16日 20時) (レス) @page44 id: cdb417a741 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - ナルアさん» ナルアさん…！本当にお久しぶりです！ずっと待たせてしまって本当にごめんなさい ; ; いつもコメントしてくださって本当に支えられています…！そう言っていただけて本当に嬉しいです！ずっと待ってくださっていて本当にありがとうございます！これから頑張ります！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - 名無し76544号さん» 優しいお言葉に本当に心が暖かくなって小説も書こうって思わせていただけます！本当にありがとうございます！少しでも幸せが訪れますようにっ！最近寒くなってきましたので、お体に気をつけてくださいね！更新頑張っていきますね！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mikan | 作成日時：2020年10月4日 13時
