第四十八話「意味」 ページ6
．
男の赤く光る目を見て、私は言った。
『その者達を、殺すのですか？』
その私の言葉には、多分、何の感情もない。
何の感情も入れなかったから。
「そうだと、言ったら…どうする？」
私の目に映るクラピカという男は
もうずっと憎しみの塊のようにしか見えない。
そこだけ、私と違うんだ。
孤独なところ。心の拠り所を奪われたところ。
一人の寂しさ。一人の怖さ。
を、知ってるところは同じなのに。
私は、赤く染まる目を見つめて言った。
『殺したって…虚しくなるだけだよ』
私は表情が少し崩れそうになる。
眉に少し力が入ってしまう。
口角は、上がっているようで下がっているようで。
自分の顔なのに、もうよく分からない。
男は言った。
「貴様に…何がわかる？」
その言葉の通り、お前に何がわかるんだ。
と、率直な疑問の声だった。
『わかります。
家族を…大切な人達を、失う気持ち』
私は続けて言う。
男が…クラピカが。私に話してくれたように。
『私も、両親を…家族を殺されました』
でもね。クラピカ。私は、貴方と違うんだ。
その言葉に、その私の心に
憎しみは一つも入っていないんだよ。
クラピカは、一瞬驚いたように目を見開けた。
そして、一瞬時間が止まったかのように固まった。
クラピカは、固まった口をゆっくりと動かし、
「お前は…復讐をしたいと思わないのか？」
と、赤く光ったままの眼で、私に聞いてくる。
『思いません』
「…なぜ？」
『そこには…何も、生まれないからです。
復讐からも。誰かを殺すことからも。…何も』
私は言う。
『結局。最後には、一人になってしまう』
掠れたような声が出た。
そんな私を見つめるクラピカの眼は
徐々に赤みを消していっていた。
「それでも…私は、仲間のために。
戦うと。そう心に決めたんだ。だから…」
クラピカは、言う。
「私は、行かなければ…ならない」
それは、動揺の混じったような声だった。
クラピカは拳を握り
私に背を向け、突然歩き始めた。
『クラピカ…！』
私は、声を上げていた。
クラピカが言った"行かなければならない"
その言葉の意味は、きっと
______殺しに行かなければならない。
理不屈であろうと。不公平であろうと。
人と人とが殺し合う事に、意味なんてない。
大切な人に暖めてもらった手を
大切な人のために汚す事はない。
だけど。
クラピカは、私の目の前から
瞬間移動するかのように
消えたんだ。
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じゅな(プロフ) - ずっと待ってます！ゆっくりでもいいので更新してくださると嬉しいです！ (4月18日 17時) (
レス) id: 63d6ee7837 (このIDを非表示/違反報告)
あ3 - 更新楽しみにしてます､､､､めちゃ好きです (2022年11月1日 16時) (レス) id: b2be5c4b6e (このIDを非表示/違反報告)
キエラ(プロフ) - 久しぶりに見に来たら更新されてて泣きました(´；ω；｀)これからも更新楽しみにしてます...！ (2021年12月16日 20時) (レス) @page44 id: cdb417a741 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - ナルアさん» ナルアさん…！本当にお久しぶりです！ずっと待たせてしまって本当にごめんなさい ; ; いつもコメントしてくださって本当に支えられています…！そう言っていただけて本当に嬉しいです！ずっと待ってくださっていて本当にありがとうございます！これから頑張ります！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - 名無し76544号さん» 優しいお言葉に本当に心が暖かくなって小説も書こうって思わせていただけます！本当にありがとうございます！少しでも幸せが訪れますようにっ！最近寒くなってきましたので、お体に気をつけてくださいね！更新頑張っていきますね！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mikan | 作成日時：2020年10月4日 13時
