フェイタン【短編集】 (ページ6)

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【拷問】ページ6

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「その顔、そそるよ」

目の前にいるフェイタンという名の男は、拷問具を持ちながらニヤニヤと笑っている。

「はやく情報を吐くね。爪剥がされたいか？」

私は、今からこの男に拷問をされる。

私からマフィアの"重要機密情報"を聞き出すため。

『誰が言うか！死んでも言わない！』

目の前でニヤニヤと笑っている男を、私は鋭く睨んだ。

椅子に拘束され、手足も全く動かせない。

私は、ここで死ぬのだろうか。

「初めは、みんなそう言うね。でも、最後には泣きながらバカみたいに命乞いをしてるよ」

そう鼻で笑う男。
相当、拷問の腕に自信があるのだろうか。

そう思った瞬間、体がブルっと震えた気がした。

「じゃ、はじめるね」

＿＿＿ビキッ。

私の爪が勢いよく剥がされた。

＿＿＿ボキッ。

私の骨が折られた。

＿＿＿ザクッ。

私の肌に刃物が入れられた。

「…………なぜ、吐かないか？」

ボロボロな姿になった私を見つめる男。

『言ったでしょ……死んでも言わないって』

「泣くくらいなら吐けばいいね」

自分の頬に流れるものを指摘され、私は羞恥から顔が赤くなる。

「しょうがないね」

突然、男は私から離れいった。

諦めたのだろうか。

もしかして、助かるのだろうか。

＿＿だが、そんな希望は、一瞬で消えた。

『んっ…はぁ…』

突然、男の唇と私の唇が重なった。
そして口の中に、何か液体のようなものが入ってくる。

『なに…入れたの』

ゴホゴホと私は咳き込む。

「毒薬」

男が舌なめずりをしながら笑う。
瓶のようなものが、男の手に握られている。

「これ、全部飲んでもらうよ」

男は瓶を見つめて、ニヤリと笑った。

『ん………はぁ………』

『まって………』

何度も何度も男の唇と私の唇が重なる。
その度に、気持ちの悪い液体が口の中へと入ってくる。

何故わざわざ口移しで、毒薬を飲ませるのだろう。
単純に、私の嫌がる顔が見たいから……？

どんどん頭がクラクラしていく。

口からだらしなく、こぼれる液体。

半開きになる目。

「ハハ。いい顔よ……最高ね」

私の顎に手を添えて、男がニヤリと笑った。

この目の前にいるサディステックな男__フェイタンからは、もうどうやっても逃げることはできないらしい。

毒薬とともに入ってくる、男の唾液を飲みこみながら、私はそんなことを思った。