フェイタン【短編集】 (ページ3)

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【〇〇の日】① ページ3

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『痛てて…』

私は、お腹を押さえる。
このお腹の痛さのは月一で訪れる"アイツ"だ。

なんで神様は、女に"この日"を与えたのだろうか。
この痛みを耐えきれるほど、女は強くないよ。

『はぁぁ』

自然と溜息が出る。
お腹も腰も痛くて、何もかもが憂鬱だ。

今回の"コイツ"はとても重い。
私は、ホームの自室のベッドで横になっていた。

先程、蜘蛛の女性群が「今日は休め」と言ってくれ暖かい飲み物などを机に置いていってくれた。

その優しさに、すごく救われる。

申し訳ない気持ちもあったが、今日はお言葉に甘えて休むことにしよう。

私は、布団にくるまって目を閉じた。

「コンコン」

自室にノック音が響く。
待って、まだ目を閉じて一分も経ってないよ。

『なに？誰ですか？』

私は、不機嫌そうな声で尋ねてしまった。
あとあと罪悪感がわいてくる。

「ワタシね」

あ。その声と、その一人称。

「入るよ」

その声と共に自室の扉が開く。
頭まで布団をかぶっていた私は、目だけをヒョコッと出して扉の方を見る。

『フェイタン、どうしたの？』

自室の扉をノックしてきたであろう人物___フェイタンは、黙ったまま私のいるベッドへ歩み寄ってきた。

そして、ベッドの前で軽く座り一言。

「大丈夫か？」

フェイタンは、私の頭を優しく撫でる。

フェイタンの手は白くて細くて、少し冷たい。
そのひんやりとした冷たさが今は少し気持ち良い。

『らしくないね』

私の頭を撫でるフェイタンを見つめて、ついクスッと笑ってしまった。

だって、今の彼は本当に"らしくない"んだもん。
いつも憎まれ口を叩いてくる彼とは別人みたいだ。

「思たより元気そうね」

フェイタンは、私の頭からパッと手を離す。
そしてフンっと鼻で笑っていた。

『わざわざ来てくれてありがとうね』
「別に」
『うーわ素っ気ない』
「うるさいよ」

フェイタンは溜息を吐いて睨んでくる。
もう。さっきまで優しかったのに。なんでだよ。

そんな事を思っていると、とつぜん腹部に激しい痛みが走った。

『っ。はぁ、、うっ...』

私は、お腹を強く押さえ必死に痛みに耐える。
気持ちの悪い冷や汗がたれるのを感じた。

「A」と、フェイタンの声が聞こえる。
一度だけではなく、何度も私の名を呼ぶ声がする。

だけど、痛みで答えられない。
情けない。申し訳ない。恥ずかしい。

痛みと色々な感情で、頭がおかしくなりそうだ。