フェイタン【短編集】 (ページ1)

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【学パロ】ページ1

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キーンコーンカーン

その音が、授業の終わりを知らせた
生徒たちは音がなったあと、一斉に教室を出る

黒板の上にある時計が午後の5時を示していた

相変わらずこの学校は授業が長いんだ
まったく学生に何時間、勉強させるつもりだよ

私は、ふぅと小さく息を吐いた
いつの間にか教室は人気がなくなっていた

みんな帰ったのだろうか
まぁこのあと部活する人もいるのかな

『ふぁぁ』

私はアクビをした
眠い、まじで、非常に眠い

「大きなアクビね」

人気のない教室に、私ではない声が聞こえる
外の夕日が教室にいる2つの影を照らす

1つは私、そして、もう1つは…

『フェイタン』

それは、私の手前に座っている男子生徒の名だ
この男子生徒と私は、仲が良い

「オマエ昨日何時に寝たか？」
『10時』
「ウソね」
『うん。オヤジ』

私はクスクスと笑う
面白くもないボケだが私は面白い
でもフェイタンは案の定、私を睨んでいる

『もー、そんな睨まないでよ』

私は、頬っぺをプクッと膨らませた

「お前がしょーもないこと言うからね」
『え、いつものことじゃん』
「それもそうね」
『うわ、ひっど！！』

そこは否定してよと声を上げる私に、今度はフェイタンが少し笑った

『そういえば駅前にドーナツ屋さんができたんだよ』

私はゴソゴソと自分の鞄の中を探って、そのお店のチラシらしき紙をバンッと出した

その紙をフェイタンは目を細めながら見る
少し眉間にシワがよっている

「これが、何ね？」
『だからドーナツ屋さん！』

私は察してよ、と言わんばかりの目で見る
この話を持ち出した時点でわかるでしょう？ね？

「ワタシ行かないよ」

私の意図を何となく理解したのか、フェイタンがパッと紙から目を逸らした

『なんでー行こーよー』
「いや、ね。ワタシ甘いもの嫌いよ」
『やーだー』

私はフェイタンの腕をブンブンと引っ張る
そんな私をフェイタンは黙って睨む

「仕方ないね」

そう折れてくれたのは、フェイタンだった
はぁとため息をついている

『わーい！』

私は勢いよく立ち上がった
ドーナツ、ドーナツ、と私は喜んだ

「ささと行て、ささと帰るよ」

そうフェイタンは教室の扉へと向かった
私も上機嫌でそのあとを追う

すると、フェイタンが突然立ち止まり

「A、手」

と、私の手をギュッと繋いだ
そんなフェイタンを私はそっと見上げる

夕日に照らされたフェイタンは、どこかいつもよりもかっこよく見えて

いつもと変わらず、優しかったんだ