第６９話 ページ38
「俺って、昔から何をやってもダメだったんです。」
藍が言った。
何でも簡単そうにこなす藍らしからぬ言葉だった。
「何それ嫌み？」
「いやいや、違いますよ。」
藍は、少し笑って言った。
「昔、喜怒哀楽が激しくて、
怒りっぽくって、泣き虫で、
いろんな人から面倒がられてきたんです。
家族とか兄弟ともうまくやれなくて、外でも家でも一人だったんです。
何度、感情なんか捨てたいって思ってたんですよ。
隣にいてくれる人が欲しくて、笑顔ふりまいて、
必死になって、今となってはバカなことしたなって思う。
いじめられました。
まあ、悪口を言われる程度だったんですけどね、
誰も助けてくれなかったんです。
苦しかったんですけどね、
沢山泣いたんですけどね、
だぁーれも、隣にいてくれなかったんです。
紅も蒼も、知らん顔でした。
何と言ってもバカにしてきて、
辛くてその場から離れた時、
『あっち行っちゃえ』
『さっさと行けよ』
って、言ってきたんです。
悲しかったです。
俺の性格のせいか、よく怒られてました。
原因はもちろん俺。
でも、その他の時もあったんですけどね、俺ばっかり怒られました。
俺には、勇気がなかったんです。
『助けて』って、その一言を言えばすむことなのに、なぜか言えなくて。
バカですよね。
いつも一人で泣いてました。」
そこでいったん、言葉を切った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2015年3月2日 15時
