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いつもとは違う京治。
なんかこう、私に隠し事しているような、
焦っているような感じ。
けれど京治はなにも言わないので、
私も詮索しないことにした。
「おはようございます」
私と京治が入るなり、舞衣がパッと笑顔で
「おはようございますっ」と元気に挨拶をする。
まだ三人しかいない体育館は、すごく静かだ。
部員が来るまでまだ三十分ある。
準備をするが、ストレッチをしている京治は
なんだか落ち着かない様子。
「京治、なんかあったの？」
詮索しないつもりだったが、
選手に寄り添うのもマネージャーの仕事だと思う。
京治はギクッと肩を揺らして
そろりと顔を上げる。
「…あー、まあ、ないと言えば嘘になるけど」
曖昧な返答をする京治に、違和感を確信する。
「どうし…」
「A先輩、ちょっとこれ手伝ってもらっていいですか？」
言い終える前に彼女の声で遮られる。
「あ、うん」
色々と書きたいことがあるが、
とりあえず今はマネージャーとしての仕事をすべきだと、そう判断した。
ー
数日が過ぎた。
きっと今の私は、相当不機嫌そうな顔をしているだろう。
「A」
「ん"？」
そりゃ当然だと思う。
なぜならあの日から京治にさけられているからだ。
少し気を抜けば、涙がでそうなほど辛い。
こんなことはこの十六年のなかで初なので
どうすればいいのか対処の仕方がわからないのだ。
「A、ほんとどうしたの？」
ゆうかが心配そうに訊いてくる。
そんなゆうかに対して「別に」と
冷たい態度を取ってしまう自分に嫌悪感を抱く。
「…悩みなら聞くよ。
だから、一人で溜め込まないで…」
今の私には優しすぎる言葉で、
私の我慢の糸が切れた。
目からぽろりと雫が溢れる。
「ゆうかぁ…」
「うん。場所うつそっか」
二人で人気の少ない場所に移動した。
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