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11話 ページ12

キラリと部屋の電気を反射してこの家の風景と合わないぐらい綺麗に輝く宝石。
少しユラユラ揺れているため、指輪に彫られた何かが見えない。

ちゃんと見えないがどこか見覚えのある何かが彫られているのだ。



よく見たいと思った。
少し引っかかりができたモヤを晴らすために自然と手が伸びる次元。



もう少しで指輪を軽く掴める…






ポスッ



次元「!」



突如視界が遮られた。
視界を奪った正体が、顔をすっぽりと覆う自身の帽子だと気付くことに時間はかからなかった。

どうやらルカが先程取った帽子で次元の顔を再び隠したらしい。



『すまんな、次元。これは大事なものなんだ。』



そう聞こえたが帽子で顔を隠されたのでどんな表情かも分からない。

だが先程言葉を交えた声色とは少しトーンが下がっている気がする。


顔に抑え付けている手の重さは軽いものだが、押し返す気にもならなかった。
誰しも隠し事の1つや2つあるもの。

それを無理に聞き出すのは今は必要のない。



次元「そりゃ悪かったな。」



伸ばしていた手を降ろしたそう一言伝えた。
先程感じた違和感は無くなっていないが、自分自身の記憶から探ってみるか。



ルパン「おーい、上がったんだけどタオルどこー?」



少し曇った声が壁を跨いで聞こえてくる。
その声を聞いたあと顔から手の重さが消える。



『出してなかったな。今から渡しに行く。』


少し早足で近くにあった気配と足音が遠くなった。
居なくなったのを感じゆっくりと腰を起こす。



次元「ッ。」


ズキリッと逃走中にできた傷が傷んだ。






"『そのままだと明日体痛めるから場所変えてくれ。』"



つい数分前に言われた言葉がふと蘇る。
……どうやら彼女に言われた忠告を素直に聞いた方が良さそうだ。

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作者名:K介 x他1人 | 作成日時:2016年10月16日 16時

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