ストーリー76 ページ29
深夜。
ゆっくり瞼を上げると、月明かりが部屋に差し込んでいた。
ベッドから身を起こし、時計を確認する。
(2時か。うっかり寝ちゃった)
あまり相手を待たせてはいけないと、薄い羽織を持っただけで部屋の外へ出る。
夜中なので城内は静まり返っているが、まだゼンたちが仕事のために起きているかもしれない。
そっとドアを閉め、薬室側の庭を目指へ向かう。
そして誰にも見られていないことを確認し、外につながるドアを開ける。
城壁に沿って少し歩くと、フードをまぶかに被った人影が見えた。相手はこちらに気がつくと静かに駆け寄ってきた。
「お久しぶりです、A様。…まさか、またお会いできる日が来るなんて、思ってもいませんでした」
懐かしい顔を見て、私も笑みが溢れる。
「うん、私もだよ。また会えてよかったわユーリ、ハトはちゃんと伝えてくれたのね」
ユ「はい。サブリエを出るまでが大変でしたが、なんとか」
「…ちょっと、さっきから気になってたんだけど、何よその話し方？久しぶりに会って距離感バグってるの?昔みたいに普通に話しなさいよ」
そう言うと、ユーリはムッとした表情を向けてくる。
なによ、文句でもあるの。
ユ「何って…しょうがないだろ、こっちだって複雑なんだよ。…まぁいい、今日のところはこれを渡すだけって聞いてたが、合ってるか？」
差し出された封筒を受け取り、じっと見つめた。
中の文書には、サブリエの近況が書かれている。
この場で読んでしまいたいが、そうもいかない。
「うん、お互い人目につくとまずいし。……また手紙出すよ。ごめん、あんただけにリスク負わせて」
ここに来るまで危険な場面もあっただろう。
それなのにユーリは何も言わない。
私はここで待っていればいいだけ。彼はこれからも危険なのを承知で城とサブリエを往復することになる。
そんな心配を感じ取ったのか、彼は笑って私の頭を乱暴に撫でた。
「うわっ、ちょっと雑すぎない！？」
ユ「声でけーよ、見つかったらまずいんだろ」
「…ごめん。」
ユ「なんだよ、気にすんなって。お前の護衛が俺の仕事だったろ。そんでお前はここで待つのが仕事だ、わかったな？」
そう言ってにっと笑うユーリを見て、少しだけ不安が薄れたような気がした。
「ありがと、でもくれぐれ無茶しないでね」
ユ「はいはい、仰せのままにー。…じゃあな」
「うん」
お互いに片手を上げて、それぞれ来た道を戻った。
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カリリン - とても、いいお話です！もっと見たいです！続き待ってます！ (2023年1月22日 16時) (
レス) @page28 id: 9c8dfc725c (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - さきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(o^^o)更新頑張りますので、これからも読んでいただけると嬉しいです！ (2018年12月27日 19時) (レス) id: c2f75037c4 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 更新頑張ってください！応援してます！！ (2018年12月1日 18時) (レス) id: c9bf229238 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 梅じそさん» ありがとうございます！そう言ってくださると励みになります(o^^o)これからもよろしくお願いします！ (2018年10月28日 10時) (レス) id: c2f75037c4 (このIDを非表示/違反報告)
梅じそ(プロフ) - この小説すごく好きです！これからも更新頑張って下さい^^ (2018年10月28日 0時) (レス) id: 30f515a21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2018年10月24日 0時
