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(カナヲside)
義兄さんと手合わせした翌日。
今日も今日とて、素振りをする。
義兄さんの力になりたい。その気持ち一つでここまでやってきた。
__自分でも強くなったと、そう思う。
最終選抜では、他の皆が傷だらけだったのに対し、私は傷一つつかなかった。
那田蜘蛛山では、同期の男の子と鬼の女の子を捕まえる事も容易かった。
でも、結局は義兄さんに勝てなかった。
否、隙を見つける事さえ出来なかった。
私が少し強くなる間に、義兄さんはさらに強くなる。
その差は埋まることは無い。むしろ離れていく一方だ。
でも、義兄さんが《時の呼吸》を使ってくれたのは嬉しかった。
今までは《時の呼吸》ではなく、他の呼吸で対応されていたからだ。
義兄さんだけが使える呼吸――時の呼吸は、基本の呼吸全ての派生型だ。
水、雷、炎、風、岩。基本の呼吸全てを合わせた物が《時の呼吸》。
派生型と言うだけあって、基本の呼吸も威力や精度が落ちるが使えるのだ。
そして私やカナエ姉さんが使う《花の呼吸》や、師範が使う《蟲の呼吸》、霞柱様の使う《霞の呼吸》等、派生型の呼吸も例外では無い。
つまり義兄さんは、理論上全ての呼吸が使えるのだ。
そんな義兄さんが《時の呼吸》を使ったという事は、他の呼吸では対応出来ない程、私も強くなっているという事だろう。
それを考えると、「強くなれているんだ」と実感することが出来る。
それは素直に嬉しい。
でも、私は義兄さんを守れるように頑張らないといけない。
__もう、守られてばかりは嫌だから。
そんな一心で、私は今日も木刀を振るのだった。
*****
(春馬side)
カナヲと手合わせした翌日、俺は炭治郎君達のお見舞いに来ていた。
昨日はカナエさんに引き留められた為、久しぶりに蝶屋敷に泊まらせてもらった。
「久しぶりのアオイちゃんのご飯、美味しかったなぁ」と、ご飯の味を思い出しながら病室の戸を開く。
「あ、貴方は!」
「おはよう、炭治郎君」
「炭次朗、この人だれ?」
と炭治郎君に聞くのは、金髪の男の子。多分炭治郎君の同期だろう。
「あ、自己紹介が遅れたね。階級:柱、時渡春馬だよ」
「柱!?お、俺は我妻善逸です!」
柱という単語に驚き、慌てて自己紹介する金髪の子――善逸君。
「時渡さんはどうしてここに?」
「春馬で良いよ。俺がここに来たのは、しのぶに炭治郎君はここに居るって教えてもらったからだね」
善逸君の質問に、しのぶに教えてもらったと伝える俺。
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作者名:藤崎風花 | 作成日時:2020年12月29日 0時