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――此処は何処だろう。
目を開けると、知らない景色が広がっていた。
否、うっすらとだが覚えている。
此処は、
「お帰り、お兄ちゃん」
――俺の故郷だ。
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(side無し)
「そうか。皆眠ったか」
列車の乗客全員が眠ったのと同時刻。下弦の壱―厭夢は、下からの報告に笑みを浮かべていた。
(鬼狩りの柱も大したことないな)
「それじゃあ君達、先教えた通りに頼むよ」
厭夢の頼みを聞き入れた子供達は、鬼狩りの居る号車へと向かって行った。
「さあ、夢に墜ちろ」
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「そうか、厭夢が始めたか」
始まりの鬼である鬼無辻無惨は、厭夢からの意識通信の報告に、ほくそ笑んでいた。
だが、念には念を入れるのが無惨だ。
「黒死牟、猗窩座、出番だ」
「「了解です」」
柱が二人居る状況なのだ。それならば、
――それに、時柱の使う呼吸―時の呼吸は、何処と無くあの忌々しい呼吸―日の呼吸に酷似している。
それ故、時柱と戦うであろう黒死牟に、時柱の技量を調べさせようと無惨は考えたのだ。
月の呼吸と時の呼吸。どちらも日の呼吸の派生と考えられるので、相性は五分五分だろう。
だからこそ、いずれ来る鬼狩りとの決戦に、今は備えるのが大切だ。
鬼無辻無惨は、鬼狩りを滅ぼす為に最善を尽くす。
―もう、あんな悲劇を起こさない為に。
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「そうか、怪我が完治して良かったよ。カナエ」
元花柱である胡蝶カナエは、自身の怪我が完治した事を、鬼殺隊のトップである産屋敷輝哉に報告しに来ていた。
「はい、私個人の報告の為にお館様のお時間を頂いてしまい、恐縮ですが」
「いや、カナエも私の大事な子供だ。復帰は出来るのかい?」
「はい、これからは元花柱として、しのぶの補佐に勤めようと思います」
元花柱のカナエは、当時の柱でも春馬に次ぐ強さを持っていた。
そんなカナエが現蟲柱のしのぶの補佐をすると言ったのだ。輝哉としてもそうしたい。
――だが、
「その事だけど、カナエは花柱に復帰して欲しいんだ」
「えっ!?」
「しのぶから、そう頼まれてね。返事は遅くてもいいから、しのぶに詳細を聞いてくれるかな?」
「……分かりました」
妹が何をしているのか訳が分からない。
カナエはそう思いながら、蝶屋敷へと帰るのだった。
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作者名:藤崎風花 | 作成日時:2020年12月29日 0時