つづき ページ14
「拓実、ちゅーしよ」「へ、」
どうしようどうしようどうしよう。
ぽてぽてと顔を赤くしたAさんがもう口が触れてしまう位置で目を合わせてくる。
どうしてこうなったかと言えば、あの番組の終了後、また話す機会があってAさんの方から時間があれば…とご飯に誘ってもらったのだ。だがどうしよう、今Aさんは酔っ払ってしまっている。
「いや、飲み過ぎですよ、」「はやく」「し、しませんってば！」
ちぇーと口を尖らせたAさんが枝豆を摘み出す。本当に恥ずかしい、俺どうしてこんなところにいるんやろ？Aさんはというと横目で見てみると明らかに拗ねている顔をしている。
「もう、帰りましょ、俺送りますから」
んーと唸るAさんを支えながら会計はもう済ませたので店の外に出る。あくまで俺たちは芸能人だから、なるべくはやく、と頼んでおいたタクシーがまだ来ていなかった。すると、Aさんに名前を呼ばれてなにかと思い横を向いたら唇に温かい感触が残った。
「へっ…」「拓実、」
なにが起こったのか理解できなかった。目の前には火照った顔のAさんがいて、その優しい声で俺の名前を呼ぶからまだなにか、と期待してしまう。恋愛ドラマみたいな「好きだ、」とかそういうもの。すると、Aさんの後ろからぴかりとさす光があって、それがタクシーだと理解するのも遅くはなくて、俺たちはなにも喋らずタクシーに乗り込んだ。
お互い車内でも話すことはなく、ただ目的地はAさんのマンションだった。綺麗でシンプルなマンション。無言で手を引かれて後ろから見えるAさんの顔がすごく綺麗だな、ってぼーっと考えていた。
「ねえ、俺のこと呼び捨てにして、敬語もやめて、俺のこと好きになって」「え、え？」「俺今酔ってるからなんでも言えるの、初めて見た時から好きだった、デビューしてくれれば会えるかもしれないって思って、その、今日は本当に最高だと思った」
エレベーターの中でぎゅ、と手を握られてその顔はどんな表情をしているか分からない。ただひとつ、俺のことを彼が好きだと言うことは分かった。じわりと赤くなるAさんの耳が、可愛らしくて愛おしくて。
「…ごめん、忘れて。明日の朝帰れるようにタクシー呼んでおくから今日は寝な」「忘れられない」
部屋に着き扉が閉まった途端、Aさんのネクタイを引き寄せてキスをしてやるんだ。
「まだ返事聞いてないでしょ」
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クレラップ(プロフ) - 見るの遅かった…！最近ハマってしまった人間です、もう届かないかもしれませんが大好きな作品です…。主様の他の作品もこれでもかと読ませていただいています、これからも沢山読ませていただきます！ (2021年9月19日 0時) (
レス) id: 17cb558ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - いつも楽しく拝見させていただいております！浦野くんに甘えるお話を読んでみたいです...！ (2020年5月24日 14時) (レス) id: 8491be7ae8 (このIDを非表示/違反報告)
にか - 毎回更新が楽しみです！潤くんの甘えるリクエストです。出来れば男主が左をお願い致します...！ (2020年5月9日 6時) (レス) id: 0271b166b2 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - いつも素敵なお話をありがとうございます！拓実くん希望です！お身体に気をつけて頑張ってください！ (2020年4月30日 1時) (レス) id: f77ca64a14 (このIDを非表示/違反報告)
しんり - いつも楽しく拝見させていただいてます！男主くんのお話すきです…！ひも様のペースで更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2020年4月16日 3時) (レス) id: 45ef227de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひも | 作成日時：2019年12月22日 0時
