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Aside
「はい！できた！かわいい！」
私の髪を編み込みツインにしてくれた末澤くんが、鏡ごしに優しく微笑む。
「A、お前、緊張してるやろ？」
「はい、、」
初めてリハに参加してからあっという間に公演初日。
「ここに居ったんかA、飲み物とかタオルとか下に置いてきや、他の子らもう行ったで、、って
お！末澤に髪やってもらったん？」
「はい！」
「かわいいやん！」
「ありがとうございます！」
そこに入ってきたのは丈くん。
「丈、みて！A、ガチガチなんよ！」
「そらそやろな！はじめてで緊張しない人なんかおらんわ！
まあ、でもガチガチやったら出来ることも出来ひんしな。
ちょっとおいで。」
そう言われスタスタ歩いてく丈くんに付いていく。
どこ行くんやろ。丈くんは階段をどんどん上がっていく。
扉を開け、着いたのは三階席。
「ここが一番遠い席。遠いやろ？
でもな、この席も１階の１列目も同じお金払って、
同じように楽しみにしてきてくれてんねん。
1000人全員を一気に喜ばせようとしなくてええから、
ちゃんと一人一人、目見て手振って、
そしたら、ちゃんと分かってくれる人は居るよ。」
丈くんは腰をかがめ、私に視線を合わせてそう言った。
「リチャ は入ってきたとき、ダンスくっそ下手やったし、
今江は舞台で初めてセリフもらったとき死ぬほど棒読みやったし、
俺やって最初はなんもできひんかったし、
はじめからうまくできる人なんておらんで。大丈夫。」
リチャなんてこんなんやってん、といいながら丈くんが気持ち悪い動きをして、つい笑ってしまった。
「ちょっと緊張解けました！ありがとうございます！」
「頑張りや！そろそろ円陣やから、戻らな！」
「盛り上がれんのかー？」
「「俺ら次第やー！！」」
私は初めてのステージへ向かった。
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作者名：笹の葉 | 作成日時：2020年5月29日 19時
