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｢え、ほくと、…え、｣
思いがけない出来事に、脳をフル回転させる。
舞い散るクラッカー、派手に華やかに飾られた室内。
…あれ、今七時だよな。……午後？ いや、違う。こんな早い時間に来てくれたってこと…、だよな。
｢あ、ありがとう…！｣
悩むより先に、と感謝の気持ちを述べると同時に、ぎゅっと抱きしめられた。
大好きな匂いに包まれて、幸せな気持ちになった。
｢…こんな、さ、七時からって……、北斗。いつ来てたの？｣
｢んー、多分四時くらいかな｣
｢……お前寝た？｣
最低一時までは仕事していたはずだから、と不思議に思って聞いた問いに対し、予想外の答えが返ってきた。
いつも俺の健康を気遣ってくれるやつだけど、俺としちゃあお前の健康が一番なのに。
｢…んー、まぁ、寝たか寝てないかで言ったら寝てないね｣
｢……やっぱり｣
｢あ、でも、送迎の時は寝させてもらったし…！｣
弁解するように慌てた北斗の姿に、ひとつため息。嬉しいのは嬉しいんだけど。
仕事を終えてから某百円ショップで買い込んだらしい。それにはマネージャーにも付き合ってもらったらしく、現場から某ショップ、そこから俺の家までの間は寝たと。
｢あ、でも四時に帰って、三十分くらいかけて装飾したら二時間くらい寝たよ｣
…車での移動距離が分からない限り、睡眠時間は分からないが、にしても少ない。
俺のことを考えなければかなり寝られていただろうに。
とは、口に出さない。何より嬉しいし。
｢…、樹？ 怒ってる？｣
と、頬を両手で包み込まれた。
そうされてしまえば、もう。
｢全然怒ってない。むしろ大好き｣
｢…えっ、急にデレなの｣
｢んだよ｣
｢いや、好き｣
驚いた顔からとびっきりの笑顔まで見せてくれる。
…もう、それだけで幸せなプレゼント。
｢でも、俺に健康気を付けてとか言う割に北斗は不健康じゃねぇかよ｣
｢樹、心配してくれてるの？｣
｢そうだけど｣
｢えっ、嬉しい｣
｢俺が普段から心配しないような奴みてぇじゃん｣
あー、この誕生日。会って数分で幸せ。
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作者名：更紗 | 作成日時：2023年2月2日 12時
