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｢ズドンと噂よりもびっくりしたかも｣
｢待って、あれで付き合ってなかったの？！｣
｢だから付き合ってねぇって。いつどこで誰が付き合ってるなんて言ったんだよ｣
二人して綺麗に勘違いしていたようで、簡潔にその疑いを晴らす。
ちょっとその時に、このままでもいいんじゃ、なんて気持ちが沸いたのが不思議だった。
｢だって二人の距離も会話もカップルだし｣
｢お互い好き好きビーム出てたよね｣
｢好き好きビームってなんだよ｣
｢あ、ツッコむとこそこなの｣
逆に他どこツッコむ？ 距離会話がカップルってとこ？ いやそれより好き好きビームの方が謎だよな。
そんなの出した覚えないし。
｢いやほんとにお互いがさ、周りを牽制してるみたいだったから｣
｢してねぇって｣
｢えぇ、でも……｣
｢……じゃあ、高地と北斗が付き合ってても浮気にならないわけか｣
｢あー、俺の高地…｣
｢ジェシーのじゃないでしょ｣
そっか、周りにそう見えてたわけか。幼馴染だし、全然気にしたことはなかった。
その誤解も、別に嫌なものではないかも、という思いが出てきて、その後の授業は全く集中できなかった。
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｢遅いよ樹｣
｢…ん、ごめん｣
｢……なんかいつにも増してテンション低い？｣
鳴り止まぬインターホンと、ママの怒声で飛び起きて、さっと準備してドアを開ければ端正な顔。
｢……｣
小さい頃から一緒だったから考えなかったけど、改めて見ると綺麗な顔してるな。
｢ちょっと、樹？ 大丈夫？｣
｢…全然大丈夫｣
｢には見えないけど。昨日だって帰り俺置いて行ったのなんで？ いつも待っててくれるのに｣
｢いや、気分。つかお前ごめんな、今も付き合わせちまって｣
昨日一人で帰っていた時に考えていた。
高地と北斗が付き合っているのなら、登下校を俺と続けてくれていることが申し訳なく思った。
普通、好きな人と行きたいし、帰りたいだろ。
｢ん？｣
｢だからもう一緒に登下校してくれなくていいから。北斗は北斗で一緒にいたい人として｣
｢えっ？ 一緒にいたい人ってなに？｣
｢……ごめん、先行く｣
高地は、…まぁ、大体同じ辺りに住んでる。はぁ、ほんと、無理。
なんでこれを言ったことに後悔してる？ なんで自分で言ったくせして心にモヤがかかってる？
気持ちがまとまらない。
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作者名：更紗 | 作成日時：2023年2月2日 12時
