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「そんでそのままズドンだよ! やばくね?」
「わかったわかった、もう少し声量抑えられる?」
「ズドン!! ってね!」
「ジェシーお前聞いてた?」
声量バカ二人と、昼休みを過ごす。
ママが作ってくれる弁当だったり、食堂で売っているパンだったり、まぁそれぞれ。
「いやぁ、そんときの衝撃といえばさー、北斗と高地が付き合ってる噂聞いた時くらいびっくりしたんだよ」
「んあー、ね。……ん、え?!」
「あ、まって、ごめん樹」
適当に受け流してたのバレた、…じゃなくて。
慎太郎の予想外すぎる言葉に、顔を上げて箸を止めた。
つかなに、ごめんって。
「えぇ? なに? そんな噂あったの? 高地と北斗に?」
「いや俺も風の噂で聞いただけだから真偽はどうだか」
「…俺も初めて知ったわ」
「ごめんね樹。このこと話そうか迷ってたんだけど」
俺と同じで、ジェシーも初耳だったらしい。
というか、迷うとは? なんでさっきから俺に謝る?
「いやそれはびっくりするよねー! だって高地と北斗だもん」
「…? つまり?」
「高地は俺と付き合うんだもん」
「は?」
「予定だよ予定」
「なんだよ予定かい!!」
慎太郎とジェシーの会話が右耳から入って左耳から抜けていく。
『北斗と高地が付き合ってる噂聞いた時くらい___』
代わりに慎太郎のさっきの言葉だけが俺の脳内を支配していて、ぐるぐると回り続ける。
「あと北斗は樹と付き合ってるからさー、浮気になっちゃうよね」
「そう! だからびっくりしちゃってさ」
「……え、あ、え?」
俺の名前が出てきて、やっとその呪縛から解き放たれた。
俺と北斗が付き合ってるって、なんで。
「これ言ったら二人別れちゃうかなーって思って。ごめん、言えずにいて」
「二人が別れるとか想像つかないもんね〜」
「え、待って待って」
その噂からもう集中できなくなったのに、意味のわからない二人の発言にもはや困惑超えて大混乱。
「やっぱり受け入れ難いよね、恋人の浮気」
「まぁ、あくまで噂だからね。問い詰める時は優しくね。もし嘘だったら北斗が傷ついちゃう」
「いや待てよお前ら」
頭の中は何一つ追いついていないが、とりあえず。
「なんでお前らの中で俺と北斗が付き合ってるわけ?」
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作者名:更紗 | 作成日時:2023年2月2日 12時