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｢おはよー｣
｢ん、はよ｣
｢おー、流石。朝に弱いな｣
｢黙れ｣
｢また出た黙れ｣
朝から鬱陶しいヤツめ。
校門前で珍しく高地と会って、眠気と葛藤しながら適当に会話を交わして、教室に入る。
｢あ、北斗、はよ｣
けどこいつと顔を合わせると、眠気なんて一気に吹き飛ぶ。魔法のように心臓は騒ぎ出す。
｢…うん。おはよ｣
｢…どした？｣
いつもと違う気がした。テンション、抑揚、…表情？
｢……ん、なんもないよ｣
｢…ああ、｣
まぁ、人間こういう日もあるよな。挨拶すらだるくなる時なんて俺にもあるし。
｢なぁ樹｣
｢なんだよまだいたのかよ｣
北斗の様子がいつもと違うことに違和感を抱きながら席に座ると、慌てた様子の高地が隣にいた。
｢同じクラスだし一緒に教室入ったよな？ 北斗のこととなると俺すら忘れるんだな…じゃなくて、俺今日と明日やばいわ｣
｢は？ 何が｣
｢マカロンにしたの俺だって言わないで｣
｢え、何で｣
｢あとなんか聞かれたら特別な存在って答えといて｣
｢は？｣
｢……お前鈍感なんだな｣
｢は？｣
何に鈍感なんだ？ そもそも『俺やばい』で分かるやついるか？ そいつが勘良すぎるだけだろ。
言いたいことだけ言って去りやがって。
あとなんでマカロンにしたの高地だって言っちゃいけないんだ？ そこ言わないなら手伝ってくれたのが高地なことも言わない方がいいんじゃないか？
あとなんか聞かれたらってどういうつもりだ？“なんか”の範囲広すぎだろ。
その言葉を口に出す間もなく、チャイムがなった。
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｢樹｣
｢ん、？ …あ、北斗｣
放課後までには北斗の調子も戻っているかと思ったが、何の変化もなかった。
間の休憩に話しかけようとしても、委員の仕事や先生の呼び出しやらで上手いことタイミングが合わず、話せたのは放課後だった。
｢今日俺の家でいい？｣
｢ぇ、あ、うん｣
｢早く帰ろ｣
今日約束してたっけ？ と聞く間もなく、北斗に手を引かれて教室を後にする。
…まぁ、いっか。どうせチョコ渡す予定だったし、何にしろ俺から誘うつもりだったし。
でもいつになく強引な北斗に、また少し違和感を抱いた。
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作者名：更紗 | 作成日時：2023年2月2日 12時
