妖精の羽 ページ12
ユミルside
ユキの背中から妖精の羽が生えて、飛行機を支えようとする。
僕は焦って飛行機から身を乗り出した。
「無茶だっ、やめろ！！君一人で支えられないだろうっ？」
「あ、諦めませんっ…」
飛行機におされて、眼鏡が落ちてしまった。
ユキの必死な顔が見える。
「ユミルさまも…諦めませんでしたっっ、迎えに来てくださいまじだっ」
「それとこれとは別だろ眼鏡っ子！！」
リューも身を乗り出して止めに入る。
それでも「ふんぬ〜っ」と止めようとしなかった。
諦めて、フウカたちの方を見る。
助けようとしてくれてるのが見えたが、竜に邪魔をされてこちらへ来れないようだ。
めんどくさいなっ、本当に…っ
チッと柄じゃない舌打ちをしてしまいながら、ガタガタと準備する。
「ユミルが舌打ちしたぜ…聞いたかよ」
「え、えぇ」
「リュー、運転変わって」
「はっ？」
「不時着しよう。海に落ちた方が、まだ衝撃が少なくて壊れにくいから」
「あ、ああわかったけどよ、おまえはどうすんだ？」
リューが不安そうな顔をしながら運転席をかわった。
「お人好しを止める」
「…あー…はいはい、こっちはまかせとけ！」
一瞬苦笑いをして、すぐにいつもの笑顔で笑う。
「リューじゃ不安だから手伝うわよ」
「おまえにできるわけがねーだろ？オレさまに任せとけっ！！」
「なんですって！？ちょっとかしてみなさいよっ」
ごたごた言う二人を背にする。
飛行機に捕まりつつ、ぶらんっと体だけ外に投げ出した。
ちょうどユキと同じ位置に来る。
「手をつかめ！」
「ユミルざまぁっ」
「一人で頑張ろうとしなくていいっ、一人でやったって、結局はうまくいかない」
僕も、学んだことなんだけど…
手を差し伸べると、ユキが泣きながらその手をつかんでくれた。
それと同時にパッと手が飛行機から離れてしまう。
情けないことに、筋力があまりないからだ。
「えぇっ！？ユミルさまぁっ」
ぐいーっとユキが引っ張ってくれる。
フラァ〜フラァ〜と不安定に落ちて、ばたりと地面に倒れ込んだ。
「ごめん…」
ちょっと顔が赤くなるのをかくしつつ謝る。
ユキは眼鏡がなくて、フラフラしてた。
助かったと思った。右腕の痛みは言わないでおく。
「君は待ってて」
そう言い残し、リューたちのもとに行く。
無事に不時着したようだ。
「ほらな！」
「うぅっ…酔うかと思ったわ」
*
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