それでも私は。2

Ep.82 それでも私は。 ページ44

You side




『まさかこんなに大きく報じられるなんて。』


流石ジャニーズと言ったところか。

お昼のニュースはどこのチャンネルでも、この私達のニュースで持ちっきりだ。


色々なコメンテーターの方があらゆる憶測を話し合っている。

今までそれを外野から見つめていたけれど、今回は全てを知っている側からすると、なんだか面白いなとまで思ってしまった。



そうやってテレビをダラーっと見ていると、机に置いてあるスマホの光が点灯する。



(？誰かからメール来たのかな？)



スマホの電源を入れると、LINEの通知が来ていた。


この間皆で練習した後に乗った送迎車の中で作った、"Epta チャット"グループでなんだか凄い通知数が来ている。




『…ふふっ。』




中身を見てみると、どれも興奮しているコメントばかり。

自分と同じ気持ちのメンバーと感情を共有出来るのはとても嬉しい事だ。





夏いやー…とうとう来たね!この時が!



杏里それなぁぁぁ!皆見てる?見てるよね?



遥テレビとネットニュースを同時に見てるけど、やっぱり話題性は凄いね。



閖こうなったらさ、もうデビューって夢、…諦めんくてもええってことやんな?





きっと震える手で打ったであろうその1文。

それっきり、LINE通知の嵐はパタリと止んだ。




今までタブーとされてきた、女性の入所。

普通は夢見ることが許される"デビュー"とは、私達の手にあってもいいものなのか。





きっと、お姉さん達はあまり期待を持たせてダメだった時に落としたくないから黙ってるのだろう。




でも私は、思ったことを言うよ。

それが、末っ子だから、と済まされるならそれでもいいから。






A私は夢を持つ事に権利も何も無いと思う。全ての夢を手放したくなかったちょっと前の自分の気持ちを知ってるから、ここでも諦めたくない。
…私達はグループを組ませてもらった。その時点で期待は大いにされてる。
だからこそ、この子達はデビューしたら更に輝けるって思って貰えるようなグループに、私はしたい。






考えに考え抜いた結果を全てこのLINEの一通に込めて。

無謀すぎると言われようとも、それでも私は、メンバー達と花道を歩きたい。




日向…A、良い事言うじゃん。



凛そうだよ…ね。よく考えてみたら、私達は今までとは違う。事務所の一員として今日、正式に認められたんだ。

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